恩師の背中を追いかけて。 愛知県「森蔵園」が挑む“素人でもできるらくらく有機農業”

<p>知多半島のつけ根に位置する愛知県大府市には、長野県から流れる愛知用水の恵みにより見渡すかぎり緑にうるおった畑と、なだらかな丘を利用したぶどう畑が遠くまで続く田園風景が広がります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>この見晴らしのいい丘の上に、農薬を使わず有機野菜を育てる「森蔵園」があります。名前は、おじいさんの「森本森蔵」の名からきているそう。</p> <p>&nbsp;</p> <p>園主は2年前に就農したばかりの森本一矢さん。森本さんが有機肥料でつくる野菜は、日本野菜ソムリエ協会が主催する野菜のコンテスト「野菜ソムリエサミット」で受賞歴もあります。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <h1><strong>「食えない」といわれる農業を、この世で一番尊い仕事に戻したい</strong></h1> <p><img class="alignnone size-medium wp-image-4059" src="https://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/wp-content/uploads/2018/07/01-1-640x428.jpg" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" srcset="https://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/wp-content/uploads/2018/07/01-1-640x428.jpg 640w, https://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/wp-content/uploads/2018/07/01-1-768x513.jpg 768w, https://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/wp-content/uploads/2018/07/01-1-470x315.jpg 470w, https://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/wp-content/uploads/2018/07/01-1.jpg 1000w" alt="" width="640" height="428" /></p> <p>「どうせ生きるなら、日本の農業に対して一矢報いたい」</p> <p>&nbsp;</p> <p>そんな思いで日々、畑と向き合っている森本さん。もともと、ご実家で有機肥料をつくられていました。大学院を卒業後、微生物の世界に就職機会を与えてくれた恩師のMさんと3年前に偶然再会。それがきっかけで、Mさんの指導を受けながら、この地で農業をはじめました。</p> <p>&nbsp;</p> <p>「農業」と一言でいっても、森本さんやMさんは「野菜を売ること」に重きを置いているわけではありません。</p> <p>&nbsp;</p> <p>もともと農業は、太陽と自然の恵みをいただき経済的に豊かになる仕事。生産活動を通して自然環境、生物の多様性、そして人々の健康を守る尊い職業でした。しかし、大型化、工場化が進んだことで、森本さんは「農業が自然の生態系を壊し、人の健康も損ねる原因をつくっている仕事に変わり果ててしまった」と感じられています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>安心・安全が当たり前だった昔。それが今や安全な野菜を探すのが困難な状況。</p> <p>&nbsp;</p> <p>「もう一度、&ldquo;素直な農&rdquo;に戻したい。農業を食べられない職業でなく、自然環境や人々の健康を守る尊い職業として後世に伝えていきたい」</p> <p>&nbsp;</p> <p>そんな気持ちから、二人は「素人でも生計の成り立つ有機農業」の仕組みを整えています。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p> <h1><strong>「農で自立する」暮らしの教科書づくり</strong></h1> <p><img class="alignnone size-medium wp-image-4052" src="https://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/wp-content/uploads/2018/07/02-1-640x428.jpg" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" srcset="https://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/wp-content/uploads/2018/07/02-1-640x428.jpg 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