八丈島の自然が生み出す極上キノコ「海風椎茸」。 無農薬にこだわる大竜ファームをたずねて

こんにちは、片岡力也(https://www.instagram.com/rikiya_trip/)(https://www.instagram.com/rikiya_food/)です。

東京の竹芝桟橋から約300km、伊豆諸島の南にある八丈島は、美しい海はもちろん、八丈富士や島中に湧き出る天然温泉など自然に恵まれた東京の離島です。

バブル時代には「日本のハワイ」と言われ多くの観光客で人気を博しましたが、格安航空会社などが台頭しハワイそのものが身近になったこともあり、今現在は非常に落ち着いた島になったという印象です。

とはいえ、観光資源は豊富で、都心から飛行機で45分でたどり着けるというアクセスの良さから都会に住む忙しい日本人にとってのオアシスであることには変わりありません。

今回、そんな八丈島に生まれ、「海風椎茸」というミネラルたっぷりの椎茸を育てる大沢竜児さんをたずねました。

豊かな自然とおいしいものに恵まれた八丈島

▲横間海水浴場

太平洋に囲まれる八丈島には数多くの海水浴場があり、夏場はダイビングをする人やシュノーケリングを楽しむ人で溢れます。

わずか70㎢と小さな島ですが、見どころは海だけではありません。八丈島の中心には「西山(通称八丈富士)」という富士山によく似た美しい山が聳えます。標高は854mと決して高い山ではありませんが、山頂からは絶景パノラマを楽しむことができます。

▲八丈富士の山頂

また、八丈富士が活火山ということもあり島には多くの天然温泉があります。特に「みはらし温泉」はその名の通り太平洋を見渡すことができ、運がいいとクジラも見えることがあるのだとか。

豊富な自然にくわえ、八丈島はグルメに富んだ島でもあります。まず、豊島の中に点在する湧き水スポットはもちろんのこと、驚くことに水道水まで癖がなく大変飲みやすいのが魅力の一つ。

おいしい食材にありつくには清らかな水が必須であることからもわかるように、八丈島で育つ食材(明日葉をはじめ、島の焼酎、パッションフルーツなど)はこの美しい水の影響を強く受けているのです。

椎茸作りのきっかけはまさかのクワガタ

八丈島の老舗居酒屋にて、絶品椎茸を作る男性がいるという情報を入手して向かった先は、島の外れにある「大竜ファーム」( https://dairyu2016.wixsite.com/dairyufarm)という農場です。

オーナーの大沢竜児さん(https://twitter.com/dairyu0317)は、もともとクワガタを育てることが趣味。幼虫を育てるのに、食用キノコの菌を植え込んだ広葉樹の菌床ブロックを崩し、瓶に詰め直した「菌糸瓶」を自作し、クワガタを育てていました。

その際に、瓶の中でヒラタケが勢いよく伸びることに気がつき、「八丈島はキノコを育てるのに適した環境なのでは」と考え椎茸を作るようになったと言います。

事実、椎茸は比較的暖かく程よい地湿度の場所を好むため、八丈島は環境的には非常に適しているのだそう。こうして大沢さんは、クワガタをきっかけに本格的に椎茸栽培を始めることとなりました。

島の恵みと大沢さんの努力が生み出した絶品「うみかぜ椎茸」

大沢さんの育てるキノコは「うみかぜ椎茸」といい、八丈島特有の海風を浴びることでミネラル豊富でほんのり塩気が効いた椎茸ができあがります。

実際にいただいてみると、チーズのような濃厚な香りと、コクが口の中に広がり一瞬で虜になってしまいました。

キノコ特有のえぐみのようなものは一切感じられず、今まで食べていた椎茸とは全く異なることにただただ驚かされます。そこには椎茸栽培に適した八丈島の環境だけでなく、大沢さんの並々ならぬ努力の結晶がありました。

まず、椎茸を育てる上で必要なのは、原木で作られた四角い形状をした「菌床ブロック」というものです。

通常椎茸を作る際はコストの面から中国の菌床ブロックを使う生産者が多いのですが、大沢さんは子どもにも安心して食べて欲しいという強い思いから、国内産のブロックにこだわり、かつ八丈島の気候とマッチしたものを見つけるために、40以上の菌床ブロックで実際に椎茸を栽培してみました。

そうして試行錯誤をしていたとき、ようやく国産のウッドチップ、厳選した材料、菌種用いて生産する菌床メーカーに出会うことができました。こだわりが強すぎる大沢さんが納得いく菌床ブロックにたどり着くまで、なんと4年もの月日が経っていたというのだから驚き。

安心できる菌床ブロックを利用して、農薬や化学肥料を使用しない方法で栽培された椎茸が自慢のうみかぜ椎茸なのです。

「うちの椎茸は、椎茸ぎらいの子どもも喜んで食べてくれます」とうれしそうに語る大沢さん自身にもお子さんがおり、食べ物を作る以上「子どもが安心に食べられる」ということは何よりも必須な条件だったのです。

オリジナルレシピ「うみかぜ椎茸とうみかぜキクラゲとベビーホタテのクリームパスタ」(http://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/recipe/8725/)もシングルファーザーである大沢さんが息子を喜ばせようと試行錯誤した集大成であるようです。

一人でも多くの人にこの感動を届けたい

「いくら本物の椎茸を作っても供給量が少ないようでは人々の食生活は変わらない」

そう思い大竜ファームでは2017年には第二農場が完成し、現在は二つの農場で椎茸を栽培しています。

さらに、細かい温湿度管理もできるように改良を重ね、通年で安定供給ができるようにもなりました。

今後は八丈島にキノコ生産組合を立ち上げ、キノコ生産に対するノウハウを提供しながら地域一体となってより多くのキノコを生産していくこと。そして、少しでも多くの人にこのすばらしいキノコを食べて欲しいと大沢さんは語ります。

椎茸ぎらいなお子さんを持つ方や、ご自身があまり得意でないという方も、ぜひ一度うみかぜ椎茸を食べてみてはいかがでしょうか。

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