「河内晩柑」を作り続けて25年。愛媛愛南町・吉田農園がおいしい実を成らせる秘訣とは | おうちごはんラボ

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「河内晩柑」を作り続けて25年。
愛媛愛南町・吉田農園がおいしい実を成らせる秘訣とは

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愛媛県南宇和郡愛南町は、ほどよい酸味とたっぷりな果汁が特徴の「河内晩柑(かわちばんかん)」の日本一の生産地。国内生産量の約7割が愛媛県産であり、そのほとんどが愛南町で栽培されています。

愛南町で柑橘を栽培する「吉田農園」社長の吉田浩さんは、河内晩柑をつくり続けて約25年。

入梅前の6月初旬に吉田さんを訪ね、収穫シーズンの農園におじゃましました。

 

 

愛媛県最南端のまち「愛南町」と「河内晩柑」

松山市から車で2時間と少し。愛媛県最南端に位置し、高知県の宿毛市と接する愛南町。南に黒潮が流れる太平洋、西に豊後水道に囲まれた足摺宇和海国立公園に面し、海と陸地が複雑に入り組んだリアス式の海岸線が続いています。

人口約2万人の自然豊かなこの町の基幹産業は、農林漁業。タイやマグロの養殖や柑橘栽培が盛んに行われています。

 

中でも河内晩柑の生産量は、約6,000tと全国生産量のほぼ半分がここ愛南町で栽培されています。

文旦の一品種である河内晩柑の名前の由来は、熊本県河内町で発見されたことから。黄色くて大きなその形から「愛南ゴールド」「宇和ゴールド」「夏文旦」などの別名でも呼ばれています。一見グレープフルーツに似ていますが、苦みはなく、さっぱりとした甘味が特徴です。

 

 

ジューシーでおいしい河内晩柑!といえば「吉田農園」

吉田農園の社長、吉田浩さんは河内晩柑栽培に携わること約25年。お父さんから受け継いだ柑橘農園をもとに周辺の山地を開墾しながら、河内晩柑メインの農園に時間をかけて育ててきました。

吉田農園の河内晩柑は「さっぱりした甘さがたまらなくおいしい!」と大人気。その評判からNHKの全国放送などの有名メディアにもたびたび紹介されている名物社長の吉田さんです。

 

初夏から盛夏にかけてがシーズンの河内晩柑。取材時の6月上旬は収穫真っ只中。畑から採ったばかりの河内晩柑がいっぱいに入ったコンテナが出荷場へとどんどん運び込まれていました。

 

夏を告げる果物、河内晩柑はお中元としても人気。吉田農園の河内晩柑は大手百貨店のカタログにも載っており、そのおいしさは折り紙つきです。

 

吉田農園では、人手が足りないポジションに社長をヘルプでいれるのだそう。この時期は出荷作業を手伝うことが多いという吉田さんです。

 

 

畑の見回りはオフロードバイクで

モトクロスが趣味の吉田さん。山の傾斜地にある園地の見回りにはオフロードバイクが最適ということで、趣味と実益を兼ねて畑の見回りに出かけます。

 

エンジン音も軽やかに園地に向かう吉田さんのバイクに続き、河内晩柑の畑を見せていただきましょう!

 

 

こだわりの栽培法が実らせるジューシーな河内晩柑

吉田農園は、約11ヘクタールの河内晩柑の園地に約8,000本の木を栽培しています。

 

一般的に柑橘の木は頻繁に剪定(樹木の枝を切ることで形を整えたり、風通しをよくしたりすること)を入れるため、大木へとは成長しません。剪定するのは余分な枝葉を落とし、栄養を果実に集中させるためです。

ですが、吉田農園ではめったに剪定をせず、ほぼそのままの状態で育てるという栽培法をとっているため、木々の一本一本がこんなに大きくなるのです!

写真は収穫を終え、3メートルを超える高さに育った15年目の木。

 

愛南町の農園らしく、主にカツオやマグロなどからできた肥料をあげているとのことですが、その肥料も極力しぼり、できるだけ木にストレスがかかる状態で育てています。少々かわいそうな気もしますが、そうすることによってジューシーでおいしい河内晩柑へと育つのだそうです。

「なるべく手をかけずにスパルタ式に栽培することが甘い実を成らせる秘訣かな。人間だって苦労した人の方が深みがあるでしょう。心配しなきゃならないのは寒さと台風。台風が来そうな時は飛ばされないように木を支えて、それなりの準備はできるんだけど、冬の寒さだけはどうしようもない。寒くならないでー!ってお祈りすることしかできないんだよね」と吉田さん。

 

幸い去年の冬は被害が出るほど寒くはならず、スパルタ式に育てられた木々には洋ナシみたいな形をした実がたわわに実っていました。

初夏から盛夏まで実をつける河内晩柑は、収穫時期によって味わいが変化します。吉田農園では、時期をずらしながら収穫&出荷しているので季節による味の違いも楽しめます。出始めの5月頃はやわらかな果実にたっぷりの果汁、シーズン終わりの8月頃にはひきしまった果実のプチプチとした食感が爽やかな味に。

 

「6月初めの今の味を試してみる?」と、吉田さんがひとつ採って剥いてくれました。皮が薄くてみずみずしい果汁がたっぷり! 初夏の風のような、爽やかな甘さがクセになるジューシーな河内晩柑でした!おいしい~。

 

旬の河内晩柑の爽やかな甘さを満喫できる、夏おすすめ「河内晩柑のゼリー」のレシピはこちら
※大きな柑橘って剥くのが大変なのですが、農園で販売されている「ムッキーちゃん」という道具を使ってみたら、面白いくらいスルスルと簡単に剥けてしまいました!

 

 

おいしい実を成らせるためには15年が必要

河内晩柑は5月に花が咲き、実がつきます。そして翌年の初夏に収穫を迎えるまで12~15か月の間、実は木になっています。

 

吉田農園では木のあるがままに任せ、花摘みや剪定作業はほぼしません。そのため、毎年6月頃にはこのように、ついたばかりの幼果と収穫を迎える成果が同じ木に混在するという、珍しい光景が見られます。

果実が甘くなるピークの木に成長させるまでには、だいたい15年はかかるのだそうですが、ずっと実がついたままの状態でいるため、木の体力もその分消耗してしまうとのこと。

 

木のリタイヤ時期も考え、おいしい河内晩柑づくりには柑橘の成長サイクルに合わせた準備が欠かせません。吉田農園では苗木の育成も毎年行っています。

これは今年植えたばかりの木。15年後、人間でいえば高校生になれば河内晩柑としては一人前というか一本前。その時期にはここにある木々は大きく成長し、おいしい実をたわわに実らせていることでしょう。

 

 

次世代につながる吉田農園のおいしい河内晩柑

「苗木は植えればよほどのことがない限り、まあ順調に育ってくれるんだけど、子どもらがねぇ……」と少し寂しそうな吉田さん。

聞けば3人いるお子さんたちが、それぞれ農業系ではない別の道に進んでしまったとのこと。

「末っ子がこの春に大学に進学したんだけど、農学部に行ってくれるのかなって期待してたら、獣医学部に行っちゃって。子どもが成長したら会社を任せて、自分はモトクロスに専念したいって思ってたんだけど、そうはうまいこといかないんだよね……」

ですが、吉田農園には柑橘づくりにひたむきに取り組む、吉田さんと同じ志の若者が社員として集まっています。

「若い社員たちと昔から柑橘栽培を手掛けているベテランの社員が知恵を出し合って作業をしているのが僕の農園。やる気のある子はどんどん伸ばしてあげたいし、伸びていってるのも事実。だから、まあ実際、言うほど会社の将来には困っていないんだけども」と笑います。

おいしい河内晩柑、そして柑橘づくりに取り組む若者も育てている吉田さん。愛媛柑橘農業の未来を担う吉田さんの活躍にこれからも目が離せません。

 

吉田農園HP  https://www.yoshida-nouen.com/

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