農林水産大臣賞を3年連続受賞!70年続く群馬県のこんにゃく農家が作る「生ズリ製法」のこんにゃく | おうちごはんラボ

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農林水産大臣賞を3年連続受賞!
70年続く群馬県のこんにゃく農家が作る「生ズリ製法」のこんにゃく

オフィシャルメンバー 旅人料理編集部

群馬県の中西部に位置する東吾妻町は、のどかな山の風景が広がり、農業や林業が盛んな地域。全国有数のラッパ水仙の生産地であり、草津温泉、万座温泉、四万温泉などを有する温泉地としても知られています。

 

そこにあるのが、こんにゃくの栽培を始めてもうすぐ70年になる「小山農園」。現在切り盛りをされているのは、2代目の小山林衛さんです。

 

小山さんの栽培技術は「こんにゃく王国」といわれる「こんにゃく芋生産量日本一」の群馬県内でもトップクラス。平成20・21・22年度に3年連続で農林水産大臣賞を受賞、平成23年度には天皇杯を受賞しました。小山農園では化学肥料や農薬を減らして環境に優しい栽培を心がけていて、県内ではじめてこんにゃくのエコファーマー(環境保全型農業)の認定も受けたほどです。

 

小山さんが手がけるこんにゃくが数々の賞を受賞するその理由は、一体何なのでしょうか。

 

 

こんにゃく本来の風味を活かす「生ズリ製法」

直売店の裏にある畑を見させていただくと、こんにゃくの種付けをするのは5月ということで、取材で訪れた3月はこれからの種付けに向けて、畑がきれいに整地されていました。

 

小山さんが使用しているのは主に「はるなくろ」という品種。日本で古くから栽培されてきた在来種と中国から輸入された支那種を交配して品種改良したもので、病気や気象災害に強いという特徴があります。

 

こんにゃく芋を育てるのには2~3年もかかります。5月に種付けして成長させた芋を秋に収穫して貯蔵。そして翌年の5月に貯蔵していた芋をまた植え付けてさらに成長させるということを繰り返します。

 

収穫したこんにゃく芋は畑の隣りにある倉に保管します。こんにゃく芋は低温に弱く、腐りやすいので、倉の中は囲炉裏の熱で暖かくしていました。

 

 

小山さんは、こうして手間ひまかけて育てたこんにゃく芋を100%使用してこんにゃく製品を製造しています。日本で販売されているほとんどのこんにゃくが「精粉」という粉から作られるのに対し、小山農園では平成元年から「生ズリ」という生芋から直接作る昔ながらの製法を採用。

 

この製法は効率が悪くて量産できないのですが、舌ざわりが滑らかで歯ごたえの良いこんにゃくができあがります。さらに無添加・無着色のため、こんにゃく本来の風味もより強く感じられるようになっています。

 

こんにゃくを製造するのは平均週2回ほど。こんにゃく芋を摺るグラインダー式玉摺機という機械は修理に出されていましたが、ちょうど取材をしていたときに修理から戻ってきました。

 

小山さんが試運転をすると、「ガチャンガチャン」と音を立てて勢いよく動きはじめました。この機械でこんにゃく芋をシャーベット状にします。これをかき混ぜてのり状にしたものを型枠にはめて凝固させると板こんにゃくに、機械から搾り出してボイル槽に落とすと、しらたきや玉こんにゃくになります。

 

 

 

こんにゃくは世界中で食べられるようになったけれど

小山さんが父親の跡を継いでこんにゃく農家になったのは、20歳のとき。以来、この東吾妻の地でずっとこんにゃくを作り続けてきたのですが、決してこれまで順風満帆でやってこられたわけではありません。

 

食生活の変化などによりこんにゃくの消費量が年々減少していったことに加え、平成になってからの安売り合戦で売値も大幅に下がってしまったからです。

 

一方、国内の状況とは対照的に、ロシアをはじめとする海外の国ではこんにゃくが食されるように。この背景にはこんにゃくの生産量日本一を誇る群馬県昭和村の村長の働きがありました。2010年頃にモスクワに代表団を送り込み、こんにゃくをそのレシピといっしょにロシア人に紹介したのです。

 

残念ながら、この試みは日本のこんにゃく業界を盛り返すまでには至りませんでした。多くの国々がこんにゃくの原料である精粉の輸入を日本よりもコストの安い中国に頼るようになってしまったからです。それでも、日本国内までそのような流れにならなかったのは日本のこんにゃく農家にとっては救いでした。

 

そのような厳しい状況にも関わらず、これまで小山農園が続けてこられたのはなぜか。

 

取材をしてみて、それはこんにゃくの質の高さだけでなく、小山さんの気さくで温かな人柄によるところも大きいように感じました。直売店の店内にはテレビ取材で訪れた芸能人と小山さんがいっしょに笑顔で楽しそうに写った写真やサイン色紙が何枚も飾られていました。

 

 

 

刺身でこんにゃく本来のおいしさを

▲小山さんが作るこんにゃくは、みずみずしくてもちもちとした食感。

 

そんな小山農園のこんにゃくを「いちばんおいしく食べる方法は?」と小山さんに訊ねると「おでんや鍋もいいけど、こんにゃく本来の味を楽しむには刺身がいちばん」とのこと。

 

薄くスライスしてわさび醤油、からし酢味噌、梅ドレッシングなどでいただきます。からし酢味噌と梅ドレッシングは、刺身用のこんにゃくを購入するといっしょにもらえます。夏は冷蔵庫で冷やせばさらにおいしくいただけるそうです。

 

からし酢味噌のレシピはこちら

 

忘れてはいけないのが、こんにゃくは栄養面で大変優れる食材の一つであること。カルシウムや、肌の保湿と美白効果の高い食物繊維のマンナンが豊富に含まれていて、マンナンは消化されるときに発酵エネルギーを発生させ、腸内環境を整えてくれます。

 

また、中性脂肪やコレステロールを抑制し、生活習慣病の予防にも効果的といわれ、ロシアではこんにゃくが食べられるようになってから国民の平均寿命が約5年も延びたという説もあります。

 

 

 

これからは日本全国の地域特産物のために

「私は生まれも育ちもずっとこの東吾妻だよ。冬の寒さは厳しいけど、周囲には温泉が多いし、のどかで住みやすい場所だね」

 

そんな東吾妻への郷土愛も、小山さんが作るこんにゃくのおいしさの一つの要因になっているのかもしれません。

 

小山さんは、現在日本特産農産物協会が運営する「地域特産物マイスター協議会」の理事も務めています。これは地域特産物の栽培・加工などの分野で長い経験と優れた技術を持つ人をマイスターとして認定するもの。

 

おいしいこんにゃく作りに40年もの思いをかけてきた、小山さんですが、これからはこんにゃくだけでなく、日本全国の地域特産物のためにより一層の活躍をしていくことになりそうです。

 

 

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