【世界の郷土菓子をつくる旅】Vol.1 世界一周の旅を経て、旅するパティシエが届ける「お菓子の物語」 | おうちごはんラボ

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【世界の郷土菓子をつくる旅】Vol.1
世界一周の旅を経て、旅するパティシエが届ける「お菓子の物語」

オフィシャルメンバー 旅人料理編集部

はじめまして! 旅するパティシエ・鈴木文です。

 

お菓子ブランド「世界のおやつ(http://traveling-pp.com/sekainooyatsu/)」を主宰し、カフェのプロデュースや、メディア・イベントなどを通じて、旅と郷土菓子ストーリーをお届けしています。

 

そんな私の仕事の礎になっているのが、世界一周の旅の経験。これまで世界50カ国以上を訪ね、500種類以上の郷土菓子を学んできました。

 

その旅は、ただ見たり食べたりするだけの旅でなければ、単なるレシピ調査でもありません。現地の人々と一緒に、現地のお菓子をつくりながら旅することで、その国や地域の歴史・文化・風土を紐解いていく旅。

 

その旅の様子を、世界各地の郷土菓子も紹介しながら、今後複数回にわたってお届けしていきたいと思います。

 

第一回となる今回は、なぜ世界一周の旅に出たのか、そして「世界のおやつ」とはどんなお菓子ブランドなのかを、自己紹介の意味も込めてお伝えします。

 

 

「お菓子の裏側にある物語も伝えられるような、パティシエになりたい」

もともとは、東京・広尾のパティスリーやペニンシュラホテルのフレンチレストランなどで、パティシエとして修行していた私。

 

念願叶ってシェフパティシエに就任してからは、一からデザートを考案・提案をできるようになりました。しかし次第に、レシピだけではなく、使われるさまざまな材料、そしてそこから誕生するお菓子が元来もっているはずの、“ストーリー”に興味が惹かれていくことに。

「ただつくるだけではなく、お菓子の裏側にある物語も伝えられるような、パティシエになりたい」

 

明確にそんな想いを抱くようになってからは、洋菓子のルーツとしてイメージされるフランスだけでなく、それぞれの国や地域が持つ文化や風土に直接ふれながら、世界中の郷土菓子を学ぶことが必要だと思うようになりました。そして、2016年から約1年間、世界一周の旅へ出発することを決意したのです。

 

でも私は、ただ見たり食べたりするだけの、食レポをしたかったわけではありません。

 

世界各地を訪ね、見て・聞いて・食べるのは最低限のことにすぎず、なによりも「世界の郷土菓子を、現地で、現地の人々と一緒につくる旅」にこだわりました。
 

世界の郷土菓子を、現地で、現地の人々と一緒につくる旅

アメリカ大陸から始まった、私の世界一周の旅。その国や地域の気になる郷土菓子を見つけたら、ひたすらパティスリーやカフェを訪ね、その場で直接、取材交渉をしていきました。

 

「一緒にお菓子をつくらせてください!」と、何軒ものお店に突撃。しかし異国の地での取材交渉は想像していた以上にハードルが高く、1つの街で10ヶ所以上もの店舗を訪ねて、すべて断られたことだって珍しくありません。

 

でも、少しずつ現地の人々に受け入れてもらいながら、気づけば20カ国以上で成功することができました。

 

あるときはパティスリー、あるときはブーランジェリー、またあるときは一般家庭のキッチン。さまざまな場所で、現地の人と一緒に郷土菓子をつくる機会を得ることができました。

お菓子が生まれる場所に立ち入ることができただけでも貴重な体験でしたが、現地のつくり手たちと一緒に、つくる時間を共有することで、その国や地域の文化の、深い根っこの部分にふれることができたように思います。

それは、インターネットの世界の中で、右から左へと流れるレシピ情報だけでは得られない、貴重な体験。パティシエの私にとってはまるで、宝探しのような旅でした。

 

 

“旅のお供”にはなれども、“生活のお供”にはならない、インドの郷土菓子

そんな世界一周の旅を終え、改めて、わかったことがあります。

一見当たり前のように思われるかもしれませんが、「郷土菓子はその名の通り、“郷土”で育まれたお菓子。その土地の風土の中で味わってこそ、はじめてその美味しさに気づけるもの」だということ。
 

例えば、インドの郷土菓子。

▲インドの庶民的スナック「ジャレビ」

インドの郷土菓子は、日本人の私たちにとっては、びっくりするほど甘いものばかりで、一度口にすれば、「もう十分……」と思うものがほとんど。
でも、その土地に一週間も滞在していれば、不思議なことにまたそれが食べたくなり、気づけば旅のお供になっていた……なんていうことが、よくありました。

そして帰国後、あの味が忘れられず、インドの郷土菓子をつくってみることに。ところが、現地のレシピを忠実に再現しているはずにも関わらず、まったく違う味わいに。そう、それは決して、日本での生活のお供にはなることはなかったのです。
 

“再現”ではなく、“創作”と“物語”から生まれた「世界のおやつ」

私が帰国後にはじめたお菓子ブランドは、実はこの原体験が、そのコンセプトに大きな影響を与えています。
旅をしながら学んできた「世界の郷土菓子」をベースにしながらも、ただ“再現”するのではなく、日本の風土や気候にも合うように“創作”して、新たに生まれたお菓子。

それが、私がプロデユースする「世界のおやつ」です。

 

「世界の郷土菓子」のレシピをそのままコピーしても、風土や気候が違う日本では、正確に再現することはできません。仮にできたとしても、やはり同じ理由で、その多くは日本人の口には合わないものが多いのも事実。

だからこそ、安易に再現して商品にすることは、「その国や地域に対して敬意を欠いているのではないか」とすら思います。

それならば、現地の特徴を生かしながらも、日本の風土・気候に合うように、日本の旬も取り入れながら、“美味しい、世界のおやつ”を創作すべきだと考えたのです。

 

そして、味や見ためはもちろん大切だけど、それぞれのお菓子の中に確かに存在している“物語”も欠かせないエッセンス。

約1年間の「世界の郷土菓子を、現地で、現地の人々と一緒につくる旅」の中で、“旅するパティシエ”として私は、そのエッセンスをひろい集めてきたつもりです。
次回からは、そんな世界の郷土菓子のストーリーを、お届けしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

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