【東京・八丈島】「島の外からやって来た自分だからできることがある」若きアシタバ農家の挑戦  | おうちごはんラボ

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【東京・八丈島】
「島の外からやって来た自分だからできることがある」
若きアシタバ農家の挑戦 

オフィシャルメンバー 旅人料理編集部

「アシタバ」という食材を知っていますか? スーパーなどで目にする機会も少なく、一般的にはなじみのない食材かもしれません。

 

アシタバは特有のほろ苦さを持つセリ科の野菜で、栄養価が高く、青汁などの原料にも使われています。また、ポリフェノールの一種「カルコン」と「クマリン」が含まれ、免疫力の向上や、血圧・血糖値を下げる効果があり、がんの予防にも効果があるといわれています。

 

「アシタバ」は漢字では「明日葉」と書き、「今日摘んでも明日には芽が出る」という言い伝えがあるほど生命力の強い野菜。東京都の伊豆諸島では特産野菜として積極的に栽培されていて、中でも原産地とされる八丈島は最も盛んな地域の一つ。

 

今回はそんな八丈島でアシタバ農家をされている姫﨑さんを訪ね、アシタバの生産に対する思いやおいしい食べ方をインタビューしてきました。

 

八丈島との最初の出合いは、「リゾートバイト」だった

八丈島は伊豆諸島に属し、東京都の南方約290キロメートルに位置しています。東の三原山と西の八丈富士の2つの火山に囲まれたひょうたん型の島で、気候は高温多湿、年間を通して風が強く、雨が多いのが特徴です。

 

姫﨑さんの畑があるのは八丈富士のふもと。八丈島の空の玄関口「八丈島空港」から車で15分の位置にあります。多数の木々に覆われた山の中。およそ畑があるとは思えないような場所にあります。山の斜面にある1500坪の土地を購入し、自分の手で木を切って一から畑を作ったそうです。

 

大阪出身の姫﨑さんが八丈島と出合ったのは13年前。25歳のときにリゾートバイトで訪れたのがきっかけです。最初は3ヶ月の契約で働くつもりが、島の環境が肌に合ったのか、気づけば1年半もいたとか。その後島を出てからは都内で会計関連のお仕事や、転職して大阪でIT関連のお仕事もしていたそうです。

 

そんな姫﨑さんに転機が訪れたのが4年前。リゾートバイト時代に一緒に働いていた友人から突然の連絡がありました。「ちょっとうちのホームページを作りたいんだよね」。その友人はリゾートバイトを終えた後一度島を離れ、再び八丈島にやってきてアシタバ農家をはじめていたそうです。

 

姫﨑さんがIT関係の仕事をしていると知った友人は、自らのホームページを立ち上げるために相談。それをきっかけに8年ぶりに島を訪れた姫﨑さんは、そのときに懐かしさと新鮮さが入り混じったような不思議な感覚に陥ったといいます。

 

数日間の滞在で八丈島へ心が揺れ動きはじめます。その思いを確かめるため、半年後に再び八丈島へ。このとき自分の直感を信じ島への移住を決意。大阪に戻って退職の手続きを行い、ついに2015年3月に八丈島での新しい生活がはじまったのです。

 

アシタバを「できるだけ自然の状態で栽培をしたい」

姫﨑さんは、最初は友人のアシタバ農家を手伝いつつ、アシタバの栽培方法を学びました。1年後には土地を購入して自分でもアシタバの栽培を開始。古くからアシタバ農家をされている方からの助言をもらいつつ、試行錯誤を重ねながらアシタバを育てています。

 

八丈島は年中雨が多いですが、姫﨑さんの畑がある八丈富士のふもとは水はけがよく、栽培に適した土地になっています。また、アシタバの栽培には日当たりが良い場所よりも、多少陰になる場所が良いのだとか。その点でも周りを木々に囲まれている方が良いそうです。

 

姫﨑さんのこだわりは、「できるだけ自然の状態で栽培をする」こと。化学農薬は使わず、主に菜種粕や鶏糞を肥料として使用し、栽培を行っています。

 

現在生産しているアシタバは、青汁やアシタバ製品に利用される加工用と、そのまま食材にされる生葉用とに分けられます。同じアシタバでも加工用と生葉用では収穫方法が異なります。

 

加工用のアシタバは、1つの株から一番外側の茎を収穫します。1本茎を収穫すると新しい芽が出てくるので、また外側の茎を収穫するのです。これをひたすら繰り返していきます。生葉用のアシタバは、外側の茎を残したまま、新しく生えてくる新芽だけを収穫していきます。

 

アシタバは1年中収穫することができる野菜ですが、旬の時期は3月~5月。この時期になると、都内のスーパーでも見かけることがあります。生葉用のアシタバを選ぶ際は、葉がやわらかくて茎がしなやかなものがよいそう。茎が固くなったものは苦みが強くなるのだとか。

 

 

家庭でも作りやすい「アシタバのツナマヨ和え」

八丈島ではアシタバは揚げ物や炒め物、和え物などいろいろな料理に使われます。その中で今回紹介してくれたのは「アシタバのツナマヨ和え」(http://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/recipe/3021/)。島では、特産品で独特のにおいをもつ干物「くさや」と和える「アシタバのくさやマヨ和え」がポピュラーですが、一般家庭でも作りやすいようにとこちらを選んでいただきました。

 

「アシタバのツナマヨ和え」は手軽に作ることができるのが一番の魅力。もう一品欲しいと思ったときにもぴったりの料理です。アシタバの独特の苦みとツナマヨの相性は抜群で、クセになることまちがいなし。

 

作り方のポイントは、茎と葉で茹でる時間を変えること。茎の部分に苦みの成分が含まれるので、茎の部分の茹で時間を長くすることで苦みを抑えることができます。

 

 

「島外へ販売を増やし、アシタバの魅力を広めたい」

「もっとおもしろいことをやっていきたい」

 

クールで落ち着いた雰囲気の姫﨑さんから発せられた挑戦的な言葉。八丈島でアシタバと出合い、紆余曲折を経て八丈島でアシタバを生産するようになった姫﨑さん。

 

「島の外からやって来た自分だからこそできることがあるはず」。その思いから、何かおもしろいことができないかと思索を重ねつつ、「でもその前に必要なのは今の事業を拡大しながら、日々新鮮なアシタバを継続的に生産すること」と冷静に現状も見つめています。

 

今後は「島外への販売も増やし、多くの人にアシタバを知ってもらいたい」と語ってくれました。近年の健康ブームで注目されているアシタバ。その若き生産者の挑戦はまだはじまったばかり。姫﨑さんの挑戦はこれからも続きます。

 

 

アシタバ農家・姫﨑さんのホームページはこちら

http://ashitabahime.tokyo/