メキシコで見つけたホットチョコレート。古代アステカ人も愛した「アトレ」とは | おうちごはんラボ

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メキシコで見つけたホットチョコレート。
古代アステカ人も愛した「アトレ」とは

オフィシャルメンバー 旅人料理編集部

メキシコは北半球なので季節感は日本と同じ。

暑い時期、寒い時期とも日本と同じ。

 

今も昔もバックパッカーの必須アイテム『地球の歩き方』に書いてあったそんな情報を信じて、

まだ雪のちらつく東京をあとにした私。

 

ところが、3月のメキシコはすでに夏の気候でした。

 

 

 

 写真はメヒコの有名世界遺産「テオティワカン(Teotihuacan)です。

 

『地球の歩き方』によれば、乾季は湿度が低いので過ごしやすい、という情報もありましたが、「湿度が低い=涼しい」というわけではないのですね。

 

昼間は熱射病になるくらい気温が上がり、その対策として、私は毎日アイスを食べていました。

 

あまりの暑さに、私だけじゃなく、街中では職務中のおまわりさんもアイスを食べます。

さすがラテンの国。フリーダムですね。

 

いや、でもそのくらい暑いんです。にもかかわらず、日が落ちると一気に寒くなるのもメキシコの特徴。その理由は標高の高さにあります。首都・メキシコシティの標高は2200メートル以上。一日の最高気温と最低気温の差が、10度以上になることもあるのです。

 

肌寒くなってきた夜の路上で謎の巨大鍋を発見!

グッと気温の下がった夜の街には昼間にはなかった屋台が出現します。そして巨大な鍋を並べて、「グツグツ」とやけにとろみのある何かを大量に煮込んでいました。

 

ビーフシチュー? ……とはちょっと違う気もしますが、とにかくやたらとろみってます。トロトロというよりドロドロに近い感じ。「シチューでしょこれは!」という確信に近い感情がフツフツと芽生えます。

 

「Qué es ésto?(これは何ですか? )」という私の問いかけに満面の笑みで、「Es Atole!(アトレだよ! )」と自慢げに答えるアミーゴ。

 

アトレと言われてもわかりません! ……が、正体はともかくとろみもあってめちゃめちゃおいしいそうです! 上着を着ていなかった私としては「もうあったかければなんでもいい!」と、迷わず購入しました。

 

シチューのようなものの正体は……

結果からお伝えすると、茶色い汁の正体はまさかのスイーツ! メキシコ料理の定番食材「トウモロコシ粉」でとろみをつけたココア風のチョコレートドリンクなんだそう。シナモンスティックが浮かんで(沈んで?)いたのはともかく、とろみのついたココアなどスタバでもコメダでも見たことありません。

 

 

でも、これが悪くないんです。よく考えれば日本の葛湯も、似たような原理ですよね。メキシコで知り合った友人の中はこのとろみを「バリウムにしか思えない」という人もいましたが、調子に乗って連日辛いものを食べ過ぎ、おまけにアイス。深刻な腹下しと昼夜の気温差で苦しんでいた私には悪くないどころか、けっこう口に合いました。

 

かなり大きなカップでしたが、無理なく飲み干し、ドリンクといえども炭水化物入りなのでお腹にたまります。

 

古代アステカ人も愛した「トウモロコシ入りホットチョコレート」

ココア風と言いましたが、正式なドリンク名は「Atole de chocolate(アトレ・デ・ショコラテ)」。「アトレ」というのはトウモロコシ粉のことで、それを牛乳で溶いて温め、チョコレート味にしたものがアトレ・デ・ショコラテです。

 

このアトレ、メキシコではスペインに征服されて植民地になるよりずっと前から愛されてきた飲み物だそうです。昔は牛乳でなく水で溶いて作ったようですが、なんでも古代アステカ人はカカオの他に唐辛子も入れたとか。めちゃめちゃ精力が付きそうですね。

 

でも、辛い料理の大半が「超辛い」のに対して甘みの割合は結構控えめ。メキシコでは、あらかじめトウモロコシ粉を配合したインスタントドリンクが売っています。味のバリエーションも、ココア味の他にイチゴ味やバニラ味もあります。

 

これを使えばお湯を注いですぐできるのですが、残念ながら日本では簡単に手に入らない模様。しかし家庭で作る際は「MASA(マサ)」という白いトウモロコシ粉を水か牛乳で煮込めば簡単に作れます(Amazonや楽天でも入手可能)。

 

マサを用意するのが面倒くさい場合は、コーンスターチでも代用可能。余談ですが、日本人宿のアドリアーノは片栗粉で作ると言っていました。要はとろみがつけばいいようで、日本でも葛湯や葛もちの材料を見ると、片栗粉だったりしますから考えることは同じようです。

 

大麦入りホットミルクにも挑戦!

さて、同じ屋台ではオートミール入りホットミルク「ABENA(アベナ)」も売っていました。こちらも似たようなやさしい甘さで、個人的には大好きな味でした

 

オートミールなので、底の方に大麦がいます。家で作る場合や市販のオートミールを牛乳に入れて温めればOK。ミルク粥と同じ原理でしょうか。甘酒とも似ていますね。

 

屋台ではメキシコ名物の「Tamales(タマレス)」も同じ店で売られています。アトレ、もしくはアベナのどちらを選んでも、タマレスとセットで食すのが一般的のようです。

 

タマレスとは、トウモロコシの粉で作った生地に、煮込んだ肉などの具材を入れて、ラードで丸め、トウモロコシの皮に包んで蒸した料理。……というのが一般的なレシピだったような気がするのですが、アトレと一緒に売っているのは肉の代わりにレーズンが入っていて、味付けも甘いスイーツタマレスでした。

 

「ちまきと思って開けたらおはぎだった……」みたいな心境です。甘いもの好きの女子ならダブルで甘くても全然平気なのかもしれませんが、女子力の低い自分としては、さすがにダブルは少しきつい。タマレスはしょっぱい方がうれしかったかもしれません。

 

ちなみに、通常のタマレスはトウモロコシの皮で包みますが、バナナの皮で包んだオアハカ風タマレスもあります。

 

ところ変われば食変わる?これだから旅はやめられない!

それにしても、トウモロコシ(食べ物)とトウモロコシ(飲み物)をセットで食べるのですからメキシコの食文化には本当にトウモロコシが欠かせません。

 

「メキシコ人ってトウモロコシ大好きなんだね!」という話を、仲良くなったメキシコ人にからかい気味で振ってみたところ、「日本人だって大豆の汁に大豆の具材を入れて食べるし、そのおかずは腐った大豆に大豆の汁を混ぜたものだった」と言われました。どうやら豆腐の味噌汁と納豆のようです。

 

その言葉に「……なるほど。確かに」と、メキシコグルメと日本グルメの共通点に気づき、ギャフンとなった瞬間でした。