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「天と共に生きるんじゃ!」岐阜県の里山で25年間育みつづける“あるがままの自然農法”

オフィシャルメンバー 旅人料理編集部

「白川茶」という日本茶で有名な、岐阜県白川町。

 

岐阜県の岐阜市から高山方面に向かって、ぐんぐんと山間の道を進んでいくと、白川町黒川に「むらざと自然農園」があります。

 

園主は古田義巳さん。自然米や雑穀、大豆、野菜などを化学農薬・化学肥料・除草剤など、化学的なもの使用することなく、自然肥料を利用しています。

 

1998年にむらざと自然農園を立ち上げて以来、作物を自然のままに作り、消費者さんにその想いと共に自然の恵みをお届けしようと、さまざまな仲間と共に活動しています。

 

 

有機農業がさかんな町「白川町黒川」

農薬を使わない方法が町全体に広がっていった背景を聞くと、「うちと、お隣が有機栽培にしたら、あとは一気に広がったよ」という答えが返ってきました。

 

売り先に苦労したことはなく、農薬を使っていない野菜でないと嫌だというお客さんは後をたちません。「これからも、毎日きっちりやっていたら、必ず1年後には結果が出る」と、吉田さんは自信たっぷりのご様子。

 

周囲の反対を受けながらも、順調に前進してきたかのような大らかな話ぶりに、呆気にとられていると、「その代わり、失敗も山ほどしたよ。ガハハ」と大笑いする古田さん。

 

失敗もふくめ、古田さんが白川町で培ってきたものとは、一体何なのでしょうか。

 

 

 自然農から、「むらざと自然農法」へ

「大事なものを見せてなかった」と案内してもらったトマトハウスの中には、本物のたぬきの剥製、ポン太が。

 

なんでも、このポン太を畑に置いてみると、ピタッと獣に作物を食べられることがなくなったのだとか。いただいた剥製の置き場に困って、なんとなく置いたポン太が、畑の守り神になっているようです。

 

たぬきの剥製は偶然の産物とはいえ、古田さんは、黒川に合った方法を模索し続けてきました。トマトハウスの隣にある、同じく古田さんの畑に見えたのは、防獣・防虫ネット。

 

自然農というと、ビニールやプラスチックからできたものもふくめて、化学的なものは一切使用しない人もいます。しかし、防獣・防虫ネットは、古田さんが山の中で獣や虫から作物を守りながら自然農家としてやっていくために行き着いた方法の一つ。

 

そして、古田さんは種の選び方も、農業を始めた頃に比べると変わったと振り返ります。

 

当初は、「固定種」(親から子・子から孫へと代々同じ形質が受け継がれている種で、味や形が固定されたものが育つ種)ばかりを選んでいましたが、黒川では半分くらいの種類しかうまくできなかったのだとか。

 

逆に、固定種の中でも、「福鉄砲」という大豆をはじめとする、「在来種」(もともとその土地で昔から育てられていた種類)はよく育ち、味もいいといいます。今では、「黒川野菜」として力を入れ、チームを組んで野菜ボックスの宅配や自然食のお店へ販売しています。

 

一つずつ、一つずつ、黒川の土地で一番いい方法を探ってきた古田さん。田植えの方法にも熱いこだわりがありました。

 

一般的な田植えでは、粗掻き、代掻きと30cmほど土を掘り起こし、田んぼを整えます。が、この方法では自然に堆積した土の栄養が散らばってしまい、苗が栄養を吸収しにくくなるため、肥料を足さないと発育しづらいという短所がありました。

 

一方、自然農は土を掘り起こさずに、苗を植えるところだけ掘ることを理想としています。土の層を崩すことなく、苗を植えられるからです。しかし、この方法ではいくら時間があっても足りません。多くの量を生産したい農家さんにはスピードも必要。

 

そこで、トラクターで5cmだけ表面を削る方法にたどり着きました。苗を挿しやすくはするものの、土の層を必要以上にかきまぜることはしないため、自然の土の堆積によって肥料を入れなくてもしっかり育つんだそう。

 

「農家としてやっていくということは、その土地に合った方法を探していくことなんです」

 

 

素材の「まま」ご飯。「農家レストランまんま」で味わう五平餅

そんな、古田さんの想いを支え、イベントの度に美濃地方の郷土料理「ほうば寿司」や「五平餅」(http://www.mainichigrillbu.com/ouchigohan/recipe/4289/)などをふるまってきたのは、奥さんのゆうこさん。

 

黒川の味付けを「全体的に甘い味」と意識しながら、五平餅のタレも独自に変えてきました。

使うみそやしょうゆの味によって、そして好みによって味つけが変わるから、地元の中でもみんな味が違うんだとか。

 

19年前から朝市楽座(隔月開催の朝市)や道の駅で販売してきたゆうこさんも、「上には上がいる」と話すくらい、それぞれのこだわりがある郷土料理ともいえます。

 

そんな、ゆうこさんのおいしい料理を日々食べているからでしょうか。

 

古田さんは、2015年から「黒川の食材を活用した料理をふるまいたい」と、予約制の農家レストラン「まんま」を開店しました。

 

ゆうこさんをふくめ女性を中心に地元住民15人で、季節やお客さんの年齢などに応じて季節の料理を作られています。まんまは、黒川を知り、町を活性化させるのに、いいきっかけになっているとのことでした。

 

 

あるがままに生きれば、作物も人も自然に育まれていく

古田さんの周りには、自然を慈しみ、楽しむ仲間がたくさんいます。それは、古田さん自身が朝市楽座をはじめ、野菜ボックスの販売、雑穀による地域おこし、自然農体験イベントと、それぞれに異なるグループで、広範囲に志を分かち合ってきたからこそ。

 

きっかけはさまざまでも、古田さんの人柄に惹かれ、そのままお客さんになり、お客さんから仲間になり、境目のない付き合いに。人とのつながりも、作物を育てるように、自然に広がっていくのでしょう。

 

「稲刈りもおいでね。自分で植えたものを自分で狩る。命の循環に自分も加わると、がーんとくるよ。がーん、がーん、がーんってね」

 

そう話す古田さんがこの里山の中で身体いっぱいに幸せを感じていることが伝わってきました。この緑豊かな里山に、今後も多くの人が訪れ、ますます大きな笑い声と自然への想い、幸せへの気づきがこだましていって欲しいです。

 

 

(参考)

農家レストランまんま

http://urx3.nu/KCrr

朝一楽座

http://blog.murazato.com/