父から受け継いだバトンを次世代へ。湘南のブランド豚「みやじ豚」をプロデュースする宮治勇輔さん | おうちごはんラボ

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父から受け継いだバトンを次世代へ。
湘南のブランド豚「みやじ豚」をプロデュースする宮治勇輔さん

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観光やレジャーのみならず、居住地としても注目される神奈川県相模湾沿岸に広がる湘南地区。自然が豊富でゆったりとした居心地の良さに加え、写真に映えるおしゃれスポットも若者を中心に人気を集めます。

 

そんな湘南で12年以上にわたり養豚農家を営むのが、宮治勇輔さん(写真中央)です。作っているのは農林水産大臣賞を受賞したブランド豚の「みやじ豚」。

 

かつては、父の昌義さん(写真右)が一人で経営していましたが、今では勇輔さん、弟の大輔さん、勇輔さんの妻(写真左)がチームとなり、家族が団結して家業を支えています。

 

「農業をかっこよくて、感動があって、稼げる、3K産業にする」そんなビジョンを掲げて12年もの月日を走り抜いてきた宮治さんに、これまでのストーリーと未来地図について伺いました。

 

 

猛反対する父を説得し「みやじ豚」をブランド化

そもそも食への興味が薄かったという宮治さんは、大学卒業後、都内の人材派遣会社に就職。しかし4年が過ぎた頃、企業の一端を担うよりも「自分にしかできない仕事がしたい」と考えるように。

 

そんなときに思い出したのが、大学生のときに友人を集めて行ったBBQでした。実家の豚肉を提供したところ、「こんなにおいしい豚肉は食べたことがない!」と友人が感動。しかし、「この豚肉はどこで買える?」と聞かれたとき、宮治さんは答えることができませんでした。

 

なぜなら、当時は湘南地域の豚肉として、他の養豚農家が育てた豚肉と一緒になって販売されていたから。

 

 

そのときの思いを、宮治さんはこう振り返ります。

 

「実家の豚肉を堂々とお客さんに提供できればいいのに、ともどかしさを感じました。この実体験を思い出し、生産からお客さんの口に届けるところまで一貫してプロデュースができるなら、父の跡を継いで農業をやってみたいという気持ちが芽生えました」

 

自社で育てた豚としてブランド化し、お客さんへ直接届けたい。農業をかっこよくて、感動があって、稼げる職業にしたい。その想いを父へ伝えたところ、

 

「おまえの考えは理想論だ」と猛反対。

 

それでも宮治さんは粘り強く父親との対話を重ね、ようやく「そこまで言うならやってみろ」と許しを得ることに成功します。

 

そうして2006年、宮治さんが28歳のとき、株式会社みやじ豚を設立。湘南のブランド豚「みやじ豚」が誕生しました。

 

 

毎回大盛況のBBQイベントは一番のやりがいに

宮治さんよりも2ヵ月先に家業を継ぐことを決め、実家に帰っていた弟さんが生産を担当し、宮治さんは商品開発、営業、マーケティングの一連を担うことに。

 

それまでの流通経路を断って新しい販路を拡大することは、容易ではなかったものの、「時間をかけて丁寧に広げていったことで、みやじ豚をたくさんの方に知っていただけるようになりました」と宮治さんは話します。

 

 

「今では自社のネット販売や銀座松屋さんに入るお肉屋さんでの店頭販売に加え、全国各地のレストランでもみやじ豚を使っていただけるようになりました。また、認知向上のために続けてきたBBQイベントが、一番のやりがいになっています」

 

 

みやじ豚では毎月1〜2回、自宅近くのBBQスペースで100人規模のBBQを開催。巨大なビニールハウス内で行うため、天候に左右されることもなく、ファミリー層から友人同士の集まりや企業の懇親会まで、幅広く利用されているのだとか。

 

このBBQの一番の目玉は1人400gというお肉の量。ロース・バラ・モモと3つの部位が用意されていて食べ比べることもでき、思う存分みやじ豚が食べられます。宮治さんいわく、みやじ豚はタレよりも塩で食べるのがオススメとのこと。

 

「甘みがあって脂身がクリーミーな豚肉なので、塩だけでシンプルに味付けしたほうがおいしさが引き立ちます。ほぼ食べ放題、飲み放題で大人1人4,600円と手頃な価格ですので、ぜひ一度遊びに来てください」

 

BBQ会場で焼き立てのみやじ豚をいただいたところ、脂身の上品な甘さがクセになる! 何枚でも食べられてしまいそうでした。

 

「BBQは一番のやりがい」

 

その言葉どおり、BBQ会場でお客さんと触れ合う宮治さんと家族のみなさんは生き生きとしていて、会場一帯が和気あいあいとした温かい空気に包まれていました。

 

 

おいしい豚肉は農家の「こだわり」から生まれる

大人気のみやじ豚は、もちろん生産にもこだわりが。宮治さんから返ってきたのは、「血統」・「エサ」・「育て方」の3つのキーワードでした。

 

「優れた豚と言われる三元豚を上質なエサで育てることに加え、ストレスフリーな環境にも気を配っています。ゆったりとしたスペースで兄弟同士だけを1つの小屋で育て、豚へのストレスを減らすことで、最高品質になります。」

 

小規模運営でも手抜きはしない。だからこそ、長く愛される上質な豚肉が生まれるのですね。

 

 

また、おいしい豚肉の見分け方については、「切り身では判断が難しい」と宮治さん。

 

「わかりやすい基準でいえば、国産、かつ○○豚のような銘柄豚を選ぶのがオススメです。生産者としては、何よりも『農家の独自のこだわり』を知っていただき、そこに共感したうえで買っていただけると一番うれしいですね」

 

値段が高いものや銘柄豚は一般的においしいと言われていますが、生産者の想いやストーリーを知ると、より一層おいしく感じられるのかもしれませんね。

 

 

甘さ・旨みを最大限に活かした豚肉レシピ

キレイなピンク色をしたみやじ豚は、脂身が甘くクリーミーで旨みが豊富なのが一番の特徴です。この特徴を活かしたオススメの食べ方を伺うと、宮治さんのお宅では「しょうが焼き」が大人気とのこと。

 

ポイントは甘い豚肉と味のバランスを取るために、しょうがを多めに入れること。通常の2倍ほどのしょうがに、しょうゆと日本酒を加えたシンプルな味付けで、ごはんが進むおかずになりますよ。

 

 

豚肉のしょうが焼きのレシピはこちら

 

 

それ以外にも、旨みが際立つトンカツや塩で食べるしゃぶしゃぶも絶品なんだそう。

 

 

親から子へのバトンタッチ。事業継承は後継者のリードから

自社の代表以外に、宮治さんがもう一つ力を入れているのが、「NPO法人 農家のこせがれネットワーク」の代表理事としての活動です。

 

2008年から活動を開始した同団体は「帰農推進。経営力向上」を掲げ、農家に生まれた“こせがれ(子供)”たちが経営に対するビジョンを持って実家に帰ることを推進し、就農後は経営者として成長できる場を提供しています。

 

宮治さんがこの活動を始めた背景には、農家の「事業継承」への課題がありました。

 

「農家を営む人たちは、事業継承と相続を一緒に考えてしまいがちです。相続は先代が亡くなってからのことですが、事業継承は先代が元気なうちにやらなければ遅い。親と子が二人三脚で経営を進めるなかで、先代の想いや積み上げてきた知識、人脈を引き継ぐことができるんです」

 

 

「時すでに遅し」で、事業継承がうまくいかない親子を何人も見てきたからこそ、宮治さんは「こせがれ側の意識」を変えていくことがいかに大切かを語ります。

 

「親の意識はそう変えられないので、事業継承はこせがれ側がリードして進めるのが得策です。自ら積極的に動き、親に気づかれないよう奪い取っていく。親から子へのバタンタッチをサポートすることで、業界全体をより一層、発展させていきたいですね」

 

株式会社みやじ豚では2019年、創立13年目にして初の新入社員を採用する予定とのこと。生産はもちろん、経営についても一から教え、バトンを引き継げる人材に育てたいと宮治さんは、意気込んでいました。

 

将来的には、いつでもお客さんがみやじ豚を買いに来れるお肉屋さんの機能を備えた複合施設を作り、次の世代に受け渡したい。そんな宮治さんの熱い想いを、きっと父・昌義さんは誰より嬉しく思っているに違いありません。

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