ドイツの小さなお庭のミントシロップ | おうちごはんラボ

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ドイツの小さなお庭のミントシロップ

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ドイツの小さなお庭文化ー“クラインガルテン”との出逢い

2016年の夏。ベルリンに引っ越してきたばかりの頃、電車の窓から見えた、たくさんの美しいお庭が集結している一帯はなんだろう……? と、とても興味を持ちました。

 

ドイツには、住んでいる家と別に小さなお庭を借り、そこで野菜やお花を育てたり、子供たちの自然の遊び場にしたりするという文化があります。それを “クラインガルテン” 、直訳で ”小さなお庭” というそうです。

 

それを知ってから気になっていたものの、駆け出し外国人フリーランサーの私は、ベルリンでお部屋を見つけるだけで精一杯。小さなお庭を借りることは夢のまた夢かな、と眺めているだけでした。

しかし、ベルリンでの3度目の引っ越し先にいたルームメイトが、まさかまさかの近所のクラインガルテンの一角を所持していたのです。2018年9月から、突然、夢のクラインガルテンのある生活が送れることになったのでした。

現在の私は、とてもパワフルなドイツ人女性2人とフラットシェアをして暮らしています。フラットシェアとは、1つの家やアパートを数人で借り、シェアして共同生活をする滞在方法のこと。魅力的な都市・ベルリンに魅せられてやってくる移住者が年々増加し、現在部屋を見つけることはとても困難。家賃も年々高騰してきています。そこで、多くの人がフラットシェアという方法で滞在しています。そうして一緒に住むことになった彼女たちは、クラインガルテンで自分たちの食べる分の野菜を完全オーガニック栽培していたのです。食卓には、そこで採れたものを使った色とりどりなサラダ・お茶・食用のお花・ミントシロップなどが並ぶ様子は、なんともきらびやか。

彼女たちは太陽みたいな笑顔で、「私たちは、100歳まで元気に生きたいの!」と毎日幸せそうに過ごしています。

 

 

ドイツの心豊かな文化、”クラインガルテン”の使い方とは

クラインガルテンは簡易宿泊施設のある滞在型市民農園です。

一角ごとに区分けされたお庭が集合しています。滞在型なので、お庭にはそれぞれに小さな小屋が1つあり、キッチンや冷蔵後が常備されていたり、夏には簡易な宿泊もできるようになっているそう。

 

本腰を入れてつくっている畑というよりも、日々の仕事のストレスを解消するために、自然とともに生活をし、リラックスすることを目的に工夫を凝らした庭づくりをしている印象です。週末にここ一帯を散歩すると、家族みんなとお庭で過ごす時間を楽しんでいる様子をたくさん見かけます。

小さなお庭は個性豊か。例えば、何気なくそのひとつを覗いてみると……

 

“SUMM SUMM”  と装飾された可愛いドアが。

 

“SUMM SUMM” とは、ドイツ語でハチが飛ぶ時の音。日本語で言う、“ブン ブン”にあたるものですね。気になって持ち主に聞いてみると、ここのお庭ではハチミツ用のハチを飼っているのだとか。

 

庭と庭の間には、こんな冒険心をくすぐる細い道たちがたくさん入り組んでいます。細い道を見つけては入って行きたくなる人なので、迷路のような作りのこの庭たちの中で、迷子になることも少なくありません(笑)

 

道の名前も、とっても可愛いものばかり。これは “レモンの道” 。他にも “ぶどうの道” 、“どんぐりの路地” なども発見しました。まるで妖精の国に迷い込んだようでした。

 

 

ルームメイトたちの小さなお庭をご案内!

彼女たちが使用している一角は、野菜の場所と、お花たちの場所、そして小さな小屋がありました。小屋の中には農作業の道具が収納されているのはもちろん、小さなキッチンとグリルをする場所もあります。

「夏はここでバーベキューをしたり、採った野菜をここで料理して食べることもあるわ。」

とのことで、一層うらやましくなってしまいました!

今回は私が引っ越してきて、初めての小さなお庭訪問。目的は、彼女たちの「日本料理が食べたい! 」のリクエストに応えるために必要な野菜を収穫することです。

まずは、彼女たちが日本食レストランで食べたことがある味噌汁。でもそれだけじゃあと考えて、日本でも好きな人が多い肉じゃがを作るよ、と話しながらお庭へ向かます。

「何が必要なの?」と聞かれ

「えっと人参と、ジャガイモと、玉ねぎと……」

そう答えると、

「ここにあるよ」

と、どんどんその場所を案内してくれました。

あっという間に、必要な野菜たちが賄えてしまいました。もちろん全て無農薬。一つ一つを手作業で育てて、自由奔放に育った野菜たち。こんなにダンスしいるように見える野菜は初めて見たかもしれません!

 

 

 

小さなお庭からの野菜でつくった、おもてなしの肉じゃがと、お返しのサラダ

味噌汁と肉じゃがにお鍋で炊いたご飯で、これぞ日本の食卓! と言わんばかりのメニュー。ドイツのスーパーでは肉じゃがに良さそうなお肉が見つからないので、ひき肉で代用しました。

そしてこれは、日本食のお礼にと、2人が作ってくれたサラダ。

 

手作りのドレッシングがちょっとかかっているけれど、素材の味がそのまま活かされていて、シャキシャキで、本当においしかったです!

 

 

料理の楽しさを、あらためて教えてくれたクラインガルテンのある生活

彼女たちはフルタイムのお仕事をしていますが、時間があれば必ず料理をする2人。仕事帰りにクラインガルテンに寄って何かしらお野菜や果物を連れて帰ってくるので、いつからかそれが私にとっての楽しみになりました。

 

クラインガルテンは10月末から3月まで、水道が止められてしまいます。理由は、ドイツの冬はとても寒いので、水道管が凍って壊れてしまうからです。私がここに引っ越してきたのは9月の半ば。そろそろ、育てている野菜や果物たちを収穫して、閉める準備をしなくてはならない時期でした。

 

クラインガルテンから持ち帰ってくる量がだんだん増え、こんなにどうするのだろう?と不思議に思って聞いてみると、

 

「加工して、冬の間もたべれるように保管するのよ」とのこと。

 

りんごたちは、ドイツ料理には欠かせないムースにしたり、薄切りにして乾燥させて、映画のお供のチップスに大変身。桃や梅は、朝ごはんの大切なアイテムであるジャムに。おかげでキッチンは毎日とてもにぎやかです。

 

そんなある日、ルームメイトがたくさんのミントを持って帰ってきました。

 

「これは、どうするの?」と聞くと、

 

「そのままミントティーとして飲むのもいいし……でも冬に向けて、ミントシロップをつくろうと思うの。」と教えてくれました。

 

「ミントシロップ!? おいしそう!! 一緒につくりたいな」と勢いで伝えると、

 

「もちろん!」と約束してくれました。

 

ミントシロップは、ミントをさとうきびのおさとうとレモン果汁と一緒にじっくり煮込んだあまい、あまいシロップです。あたたかいお湯で、お好みの味で割って飲みます。ルームメイト曰く、ドイツの寒い冬に、ベットの上であたたかいミントシロップをちびちび飲むのが最高なんだとか。

 

実際に一緒につくってみると、作業は単純ですがミントの味と栄養素をぎゅっと絞り出すために、長い時間寝かせる必要があり、トータルでかかった時間はなんと3日間!

 

シロップを瓶詰めして、やっと飲める! とワクワクしていると、

「まだ、タオルに包んで、ゆっくり冷えるまで待たなくちゃいけないの。こうすることで、シロップが腐りにくくなるのよ。」と。

 

そうか、まだゆっくり冷めるまで待たなくちゃいけないのか……と、自分の部屋へ仕事に戻ると、気が付けば夜になっていました。

 

すると、コンコンと、部屋をノックする音が。

 

ドアを開けると、ルームメイトが

 

「ミントシロップ、できたわよ」と、

 

マグカップに入ったあたたかいミントシロップを手渡してくれました。

 

その味は、仕事の疲れも忘れてしまうくらい、それはそれはやさしくて、あまくて、あたたかいものでした。

 

寒い冬にピッタリのミントシロップは、日本でもかんたんに作ることができます。ぜひ、この冬にでもチャレンジしてみてくださいね。

 

 

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