東京出身・住宅設備メーカー勤務から農家へ。愛媛県の過疎地域でえがく有機野菜の未来 | おうちごはんラボ

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東京出身・住宅設備メーカー勤務から農家へ。
愛媛県の過疎地域でえがく有機野菜の未来

オフィシャルメンバー 旅人料理編集部

愛媛県宇和島市の西北部に広がる三間盆地は、四万十川上流の三間川によってつくられた南予地方きっての穀倉地帯。山と田園に囲まれ、昔と変わらないなつかしいふるさとの風景が残っています。
そんな三間町で、甘くておいしいと評判のニンジンを作っているのが「オオシマ農園」を営む野菜農家の大島雄さん。有機栽培の野菜農家としてメキメキ力をつけている大島さんは、東京都出身の37歳。以前は住宅設備メーカーの営業をしていたという、宇和島周辺の農家ではちょっと変わった経歴の持ち主です。

 

 

南予地方有数の穀倉地帯三間町

山がちで平地が少ない愛媛南予地方において水田は貴重なもの。

山を切り開いて作られた小さな棚田が点在しているこの地方で、水田が連なるのどかな田園風景を見られるのは、愛媛在住歴6年の筆者が知る限り西予市宇和町の宇和盆地とここ宇和島市三間町の三間盆地の2ヶ所のみ。

中でも三間盆地は古くから愛媛有数の米どころとして知られ、ここで採れる三間米は愛媛県内ではブランド米として扱われています。

 

三間盆地の東側にあるのが、山に囲まれた三間町音地地区。

ここには素朴画の巨匠、原田泰治画伯の絵の世界のような、昔なつかしい里山の光景が広がっています。

 

 

米作向きの畑から、野菜向けの土壌へ

完全有機でつくられた野菜のおいしさに感動し、大島さんが約10年勤めた住宅設備メーカーを退職。その野菜を手がけた生産者の方が塾長を務める高知県の農業学校に入学したのは2013年のこと。

そこで有機野菜栽培について1年間じっくり学び、ここ三間の地で2014年から野菜農家として開業しました。

ニンジンづくりも6年目となった今でこそ、化学肥料を使わない完全有機での野菜栽培に適した土質の畑になり収穫も安定してきました。しかし、当初は米作向きの粘土質の三間の土を、野菜向けの土壌へと改良していくのにはかなり苦労したと振り返ります

 

秋冬作ニンジンの収穫開始は11月頃からですが、取材時は3月のはじめ。残りわずかのニンジンを残して、畑は土を休ませる時期にさしかかっていました。

 

ちなみに11月頃の畑がこちら。ニンジンの葉っぱの鮮やかな緑がまぶしいですね。

 

 

「手をかける分応えてくれる」甘くておいしい有機栽培ニンジン

大島さんに、残っているニンジンを少し採ってもらいました!

「おいしいニンジンは無駄なく土中の栄養分を吸い上げます。そのため、根っこがまっすぐ下に伸びていて、養分をたくわえるための細胞壁も厚いんですよ」

 

有機栽培のニンジンは味が濃くて甘く仕上がるとのこと 。栽培方法を工夫するほどおいしくなってくれる分かりやすい野菜なので、野菜づくりをしていく上で楽しくモチベーションも上がっていくのだそう。

「手をかければかけるほど応えてくれる。ニンジンは裏切らないから楽しいですね。春、冬と年に2回収穫できるから毎回新たな品種などに挑戦できます。勉強会で学んだ新しい技術を試したり、同じ志をもった農業仲間とSNSで知識を交換したり。試してみたいことが多く、毎日ホントに忙しくて、24時間じゃ足りません!」

 

▲取材の合間に、大島さんが教えてくれた「ニンジンのラぺ」のレシピ。ニンジンの甘さがひきたつシンプルなフランスの家庭料理です。

 

毎日畑に出るのが楽しくてたまらないという大島さん。その熱量からも野菜づくりにかける仕事の楽しさが伝わってきます。

 

ニンジンのラぺのレシピはこちら

 

 

ニンジン畑の土づくりに使うのはライ麦!?

▲右側がニンジン畑。緑肥のライ麦が緑の畝をつくっています

 

おいしい野菜を育てるための要は「土づくり」。有機栽培100%の大島さんの畑では緑肥(りょくひ)を作と作の間に取り入れています。

現在はライ麦を植えているこの畑ですが、収穫のために植えているわけではありません。なんと畑の土づくりをするために植えているのです。

ライ麦が実っても収穫はせずにそのまま畑に埋めてしまいます。そしてその後に「ソルゴー」というイネ科の草を植え、同じく畑に戻します。

この2段階の緑肥の投入によって地力が豊かになり、フカフカになった土にやっとニンジンを植え、来冬に収穫できるようになるのです。

 

 

消防団の一員としても活躍。ゆくゆくは大規模な農園へ

地元消防団の一員でもある大島さん。早く地域に溶け込もうと消防団の消防操法大会(※)出場メンバーとなり、仲間と練習を積んだところ、なんと、2016年の宇和島市の大会で大島さんのチームは優勝!

そして宇和島市代表となり愛媛県大会へ出場し、「小型ポンプ操法の部」で3位という見事な成績を収めました!

「ニンジンづくりと同じように、ポンプ車操法も努力すれば裏切らない」ということを身を持って証明してくれた大島さんなのでした。

※消防用機械器具の取扱い及び操作の基本について、その技術を競い合う大会

 

採れた野菜は奥さんと2人で袋詰めして出荷の準備へ。小学3年のお兄ちゃんと今年小学校に入学した妹ちゃんも時々お手伝いしてくれるのだそう。

現在は一人で農作業をこなしている大島さん。少しずつ規模を拡大していきながら、ゆくゆくは大規模な農園にしていきたいとのこと。

「生産者の高齢化が進む三間町には休耕地となってしまった農地がたくさんあります。そういった土地を活用しながら、いずれは人も雇って大きな農園にしていきたい」

そう目を輝かせながら熱く語る大島さんは、過疎化が進むこの地域においては救世主のような存在です。

南予地域の未来を担う大島さんの活躍に、これからもますます目が離せません。

 

 

オオシマ農園
※ニンジンのほかにも、小松菜やホウレンソウ、ルッコラにチンゲン菜などの葉物野菜も扱っています

https://www.facebook.com/oshimafarm/

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