「昔の人ができたことをできるように」。愛媛県のダイコン農家が「今を楽しく生きられる」理由 | おうちごはんラボ

おうちごはんラボ お役立ちコラム

オフィシャルメンバー

「昔の人ができたことをできるように」。
愛媛県のダイコン農家が「今を楽しく生きられる」理由

オフィシャルメンバー 旅人料理編集部

愛媛県南東部、家地川(いえちがわ)の上流にある小さな山間の集落、愛媛県松野町上家地(かみいえぢ)地区。

この地区で農業を営む勝浦貴子さんが、勤めていた高知市内の会社を退職し、お父さんの田んぼと畑を継いだのは今から4年前のこと。3年前には、自分が育てた農作物のおいしさを、里山情緒あふれるこの地区でいろんな人に味わってもらいたいと農家民宿「おんごく」をオープンしました。

滋味がつよい、つまり、野菜の味が濃くておいしいと評判の野菜を作る勝浦貴子さんに、「ダイコン」の簡単レシピと、OLから専業農家に転身した今の暮らしを伺いました。

 

 

愛媛と高知、県境の山懐に抱かれた上家地地区

松野町の中心部から車で約20分、愛媛県と高知県の県境の山懐に抱かれた上家地地区は、全部で20世帯ほどの民家があるだけの小さな山間の集落です。

川沿いの開墾地には、棚田や畑が点在。四国西南地方の山間部の典型的な景色が広がるこの集落には、昔と変わらない、ゆったりとした時間が流れています。

この家地川をもう少し下流に下ったところにある中家地、下家地地区は高知県に入り、高知県西土佐町に属しています。

ここではまだ小さな流れの家地川ですが、目黒川と合流し、目黒川は四万十川と合流し、そして大河となった四万十の流れは太平洋に注ぎ出ます。

 

 

お父さんから受け継いだダイコン畑

勝浦さんは家地川沿いに約5アールのダイコン畑を所有しています。毎年10月頃に種まきをし、12月頃から収穫に入るという「秋採りダイコン」を栽培しています。

青いネットで囲われているのがダイコン畑。3月上旬の取材時にはすでに収穫が終わり、次の収穫に備えて土を休ませる時期に入っていました。

 

その畑の一段上、緑のネットで囲われたホウレンソウ畑に、今年最後のダイコンが一畝だけ残っていました。葉っぱが切り落とされているのは、これ以上ダイコンを成長させてスが入らないようにするため。

こうやって葉だけ落として畑で植えたままにしておくと、野菜室で保存するよりも長持ちするんだとか。残してあるこの青首ダイコンは出荷に備えてというより、専ら自家食用なのだそう。

 

ダイコン栽培に大切なのは、栄養価のある畑の土に仕上げること、そして日当たりの二つ。植えつける前の土壌の整備が一番手間がかかるそうです。

山間にある上家地地区ですが、勝浦さんの畑には日光がたっぷりと当たっています。それはまるで、まるまるとしたダイコンがふかふかの地面でのんびり日光浴をしているかのよう。

 

特別に、一本抜いていただきました。

今は亡きお父さんが丹精こめて耕していた畑。そのお父さんの気持ちを受け継いで4年前からこの地に戻り、農業を始めた勝浦さん。立派なダイコンが育つわけですね!

 

 

季節の野菜を使ったおいしい料理が自慢!農家民宿「おんごく」

勝浦さんは農作業のかたわら民宿も営んでいます。愛犬のチャコが留守番をする農家民宿「おんごく」の自慢は、もちろん、季節の野菜を使った勝浦さんが作る田舎料理。

 

取材日はフキノトウの天ぷらがメインのメニューになるとのことで、ダイコン畑の横の土手に生えているフキノトウを勝浦さんのお母さんが摘んでいました。

 

これは、ある日の「おんごく」の夕食メニュー。

はまちの漬けのにぎり、自家製野菜の天ぷら、山菜・イタドリの煮物など愛媛・高知の県境に位置するこの地方らしい田舎料理がテーブルに並んでいます。とてもおいしそう。

 

▲料理上手な勝浦さんが教えてくれたお手軽メニュー「大根ツナサラダ」は、料理の付け合せにピッタリな、切ってあえるだけのカンタン一品です。

 

大根とツナのサラダのレシピはこちら

 

 

パワーの源はお酒と手芸

農作業に民宿の準備に日々忙しい勝浦さんの楽しみは、一日の仕事を終えた後の晩酌。缶チューハイが好きで、なんと500mlを2本と350mlを2本、計1.7リットルも毎晩飲んでいるんだとか!!

毎晩1.7リットルも飲むのにとってもスリム! とってもうらやましいです。

「やっぱり毎日動いてるからじゃない? ここで農家を始めたら、高知で会社員やっていた時より5㎏も痩せたのよ。この暮らしが私の体質に合うのか分からないけど、とにかく農作業はダイエットにおすすめよ」

そう笑う勝浦さんは今年で46歳。しかも、お孫さんが2人もいる若いおばあちゃんでもあるのです!

 

また、手芸が好きだという勝浦さん。布でくるんだドングリを紐でつるした壁掛けや、こまごまとしたものを仕事の合間に作っているそう。

勝浦さん曰く、「最初は高知に住んでいる孫にあげようと思って作っていたんだけど、道の駅にも出してみたら売れちゃって。大した金額にはならないんけれど、作ること自体が楽しいし、それを買ってくれる人がいるってことが嬉しいの」

 

 

 昔の人なら誰もができたことができるように

このビニール袋に入ったものは、薄く切って乾燥させた餅を油で揚げて食べる、昔ながらのお菓子「かきもち」。この地方では写真のように、鮮やかなオレンジや緑の色になるように色粉を入れて仕上げるのだそう。

「初めて作ってみたの。昔は各家庭で作っていたそうだけど、今じゃ作っている人も少ないのよね」

学校を卒業後、大阪で就職。そして4年前まで高知市内で会社勤めをしていた勝浦さんには、かきもちを作る必要もなければ、作る時間もありませんでした。

「何にもないこんな山の中に住んでいると、昔の人の存在をすごく感じるの。昔の人って電気も何もなくても自分で味噌や漬物つけて、全部手作りしていたでしょ? 生活していくための技術を誰もが持っていた。だから私も昔の人ならできたことができるようになりたいの」

教えてくれる人も残っているから、ギリギリ間に合った。そう笑う勝浦さんは、今年に入ってから味噌作りにも挑戦しはじめ、自分でできることが日々増えていく今の生活が楽しくてたまらないと言います。

現代的な都市生活では気づかなかった大事なものを見つけられたと微笑む、幸せそうな笑顔がとても印象的でした。

マルチグリルに関する
お問い合わせ