二十四節気に合わせて心と体を整える“立秋”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第31回は「立秋(りっしゅう)」です。

8月7日~8月22日頃、夏真っ盛り。亜熱帯気候のような暑さとゲリラ豪雨は、今や新たな日本の夏の風物詩になってきました。熱中症対策の報道も増えていますが、汗をかくこと自体は身体にとって大切。夏にたくさん汗をかくことは秋の準備に繋がっているのです。

日常生活の熱中症予防にスポーツドリンクを常用してしまうと糖分の摂りすぎやペットボトル症候群の心配がありますので、ミネラルたっぷりで体内の熱を冷ます作用のあるキュウリやトマトを水分補給のように食べると夏を上手に過ごせますよ。

さて、そんな猛暑の中で今回取り上げるのは、「桃」です。6月半ば頃から徐々にスーパーマーケットに並ぶようになりますが、旬は7~9月です。桃に含まれている果糖(フルクトース)は砂糖の1.5倍の甘さがありますが、冷やし過ぎると甘味が落ちてしまうのでご注意を。果糖は体内で代謝の過程を経ずエネルギーに変換されるので、疲労回復に即効性のある栄養源と言えます。

中医学的側面でみると、桃は微温性・甘酸味。多汗を止める効果、むくみの改善、血液循環を良くする、口の渇きを潤す、食欲不振の解消、整腸作用、疲労回復など夏にぴったりの効能ばかりです。さらに桃は、果物の中では珍しく体を冷やしません。夏場の暑気払いのように体にこもった熱を排出するにはスイカなど体を冷やすものが良いかもしれませんが、胃腸が弱い方や、小さいお子さん、妊活中の方、妊婦の方には、体を潤しながら体を冷やさない桃がおすすめです。実だけではなく、種子・蕾や花・葉・芳香にも効能が期待できるという特徴もあり、とりわけ種子は「桃仁」と呼ばれる漢方薬。血流を促進し、便秘・肩こり・頭痛・高血圧・生理不順などに効果があるそうです。蕾と花も生薬でむくみや脚気、便秘、無月経に用いられます。葉は某入浴剤やボディーソープに使用され、あせもや湿疹、かぶれに効果があると日本でも昔から使われてきたそうです。やさしく包まれるような甘い芳香は、気を鎮めるリラクゼーション効果がありますので、夏バテで疲れが取れない人にもおすすめです。

桃の食べ方にも果物という概念を越えて幅が広がりつつあります。最近では桃の冷製パスタやピザ、サラダのように料理にも使われはじめており、特にチーズとの相性が抜群で「桃モッツァレラ」が話題になっているのだとか。他にもクリームチーズやブルーチーズとの合わせもオススメです。旬の桃を食べて体を潤し、夏の養生をしましょう。

モモとモッツアレラと生ハムのサラダ

モモとモッツアレラと生ハムのサラダ

<レシピの詳細は画像をタップしてください↑↑↑>

参考 「二十四節気に合わせ心と体を美しく整える」 村上百代

「からだに効く和の薬膳便利帳」武 鈴子

「旬の食材便利帳」WEB

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