冬の定番「ラクレット」がまさに日本の鍋スタイルだった 世界のおふくろの味inフランス

今回の舞台はフランスのパリ。

現地に住む、日本人女性まりこさんの家にホームステイさせていただくことになったのです。もともと、イギリスで仲良くなった知人に紹介してもらったラッセンというフランス人が、まりこさんの家にホームステイしていたのがきっかけでした。

まりこさんは、フランス人の旦那さんとその両親、娘とラッセンの6人で住んでいます。

僕はフランスの食文化を知るべく、「ポピュラーな家庭料理を食べたい!」とリクエスト。すると、フランスでは冬の定番料理という「ラクレット」を作ってもらうことになりました。ラクレットを初めて聞いた僕は、一瞬スポーツのクリケットが頭をよぎるほど。全く想像できないだけに楽しみ……!

フランス人が愛する家庭料理「ラクレット」とは

日本でも近年ブームになっているラクレットは、チーズの断面を直火で加熱し、溶けたところをナイフで削いで具材に絡めて食べるもの。もともとは、スイスの料理です。使うチーズは、スイス原産の「ラクレットチーズ」という、牛乳から作られるハードタイプが適しているんだそう。

フランスはチーズの消費量が世界トップクラスで、種類も約300〜400種類あるんだとか。チーズをたっぷり使うラクレットが、フランスの家庭で親しまれているのもうなずけます。

フランスの家庭では、「ラクレットグリル」という器具があります。ラクレットグリルは、フランスでは当たり前のように、キッチンに常備されているんだそう。チーズは、あらかじめ鉄板に乗るサイズで厚さ5ミリ程度にカットしたものを使用します。

僕がラクレットで使用した具材はこちらです。

・ラクレットチーズ

・生ハム

・サラミ

・茹でたジャガイモ

他にも玉ねぎやキノコ、ベーコンなども定番の材料です。

ラクレットの食べ方

ラクレットの食べ方はすごくシンプル。

チーズをラクレットグリルで温め、ほどよくとろけたところで、生ハムやサラミ、茹でたジャガイモに乗せて食べるだけ。ラクレットグリルは2重構造になっており、上の鉄板では具材を温めて、下にプレートを入れてチーズを温められるようになっています。

また、チーズや生ハム、サラミにしっかり味があるので、調味料は一切いりません。一つひとつの素材がおいしいからこそ成り立つ料理であり、好みでいろんな具材をチーズに合わせることができるのが醍醐味です。

ただ、チーズや生ハム、サラミがかなり脂っこいので、さっぱりしたサラダを付け合わせに食べるのがおすすめ。塩分がかなり多いので食べすぎると、夜寝るときに喉が乾くので要注意です!

ラクレットが運ぶ「料理を囲み、食卓を共にする幸せ」

忘れてはいけないラクレットのもう一つの醍醐味は、手軽に用意できる料理だということ。急に友達が集まることになったホームパーティでも、ラクレットグリルと材料があれば大丈夫。しかも、チーズや具材を温めるときに会話が生まれるので、食卓を囲んだコミュニケーションも楽しめます。

「今日学校で楽しいことあった?」など親子で会話をする場面も多々見受けられました。

僕もラクレットのおかげで、まりこさんの家族のみなさんとも打ち解けられました。僕の旅に興味を持ってくださり、今まで訪れた国、そこでどんな人に出会い、どんなことをしたのかという話で食卓は大盛り上がり。あっという間に時間が経っていました。

そのとき、ふと思ったのです。

「あれ、これって鍋料理に似ている」

そう、日本で冬によく食べられる鍋料理も、ダシに好きな野菜や肉などの具材を切って入れるだけのお手軽料理です。さらに、鍋を囲んで会話も楽しめるスタイル。僕は、熱々のチーズにからんだ具を口に入れながら、ふと母国の鍋料理を思い出したのです。

料理を囲んで、会話をしながら食卓を共にする幸せ。

フランスで愛される家庭料理「ラクレット」が、忘れかけていた幸せに気づかせてくれました。

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