2019.11.13UP
二十四節気に合わせて心と体を整える“小寒”
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事をして、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第41回は「小寒(しょうかん)」です。
1月5日~1月19日頃を指す小寒はお正月を終えて寒さが厳しくなる時期です。小寒の節に入ることを「寒の入り」と呼び、立春までの1か月を寒の内と言います。今回はそんな季節を代表する冬が旬の「鰤(ぶり)」について書きたいと思います。
「いなだ」→「わらさ」→「ぶり」このように成長とともに名前を変える「出世魚」は、縁起が良いので主に関西で「年取り魚(お正月に食べる特別な魚)」とされています。海沿いの地域以外で魚を食べることが難しかったその昔、ぶりは塩蔵による長期保存と遠距離輸送が可能だったので、海から遠い内陸でも年取り魚として親しまれたそうです。
江戸時代の薬物書「本朝食鑑」に、ぶりは「気血を潤し、健やかに肥らせる」と記され、元気がなく痩せて体力のない人や貧血気味の人を健康にして肥らせる魚として食されてきたそうです。しかし、血合いの生臭さや脂っぽさで当時は不人気であったようで、官家の人々は食さなかったのだとか。
とはいえ、冬に旬を迎えるぶりは脂が多く、その脂はDHAなどの不飽和脂肪酸で言わずと知れた積極的に摂りたい脂です。中医学では「血を潤して滞りを破る」と言われ、血液をサラサラにして於血を取り除くとされますので、現代栄養学の不飽和脂肪酸の効能と重なります。さらに血行を促進して身体を温める効果も期待できる、まさに食べたい魚であります。
ぶりはその脂が健康に良いとされていますが、脂っぽさが余計でもあります。そのため、さっと湯通しする“ぶりしゃぶ”という食べ方が人気です。ゆずなど柑橘系の食材と相性が良く、ポン酢とも相性抜群です。照り焼きの場合もゆずが添えられますよね。さらに愛媛県では“みかんぶり”と呼ばれる、エサに柑橘類を混ぜたフルーツ魚が養殖されています。そうすることで独特の臭みを軽減させることができるそうです。筆者も実際にみかんぶりを食べましたが、ほんのり柑橘系の香りがして臭みがなく美味しかったです。
ぶりのあら汁や、かまを焼く時、ぶり大根を炊く時は下処理が必要です。80℃程度の湯をかけて表面の脂を洗い流す“霜降り”という処理をします。臭みをとり、煮崩れも防げますのでおすすめですよ。ぶりと大根を合わせる理由は、脂の多いぶりの消化を促進する効果と、体を冷やす効果のある大根と体を温める効果のあるぶりの調和が良いためと言われています。
ぶりは美味しくて冬の養生に最適です。鮮度の良いぶりに出会ったら、さまざまな食べ方で楽しんでください。
ぶりを使ったレシピはこちら
・ブリ照りサラダ
<レシピの詳細は画像をタップしてください↑↑↑>
参考 「からだに効く 和の薬膳便利帳」武鈴子
「縁起物百科事典」WEB
「広島ニュース 食べタインジャー」WEB