二十四節気に合わせて心と体を整える“春分”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第69回は「春分(しゅんぶん)」です。
3月21日~4月4日頃、朝晩はまだまだ冷えることも多いですが、日中の暖かさに春の訪れを感じる時期です。今回のテーマは「えんどう豆」でお届けします。

えんどう豆と一口に言ってもさやえんどう、グリンピース、スナップエンドウ、実えんどうと、その種類は多く、さまざまな段階で食べられています。豆はまだ未熟でも、さやごと美味しくいただけるのが「さやえんどう(絹さや)」、さやがメインになるため豆感は少ないです。グリンピース大まで育った未熟の豆をさやごと食べるもので、さやえんどうに分類されるのが、アメリカ
原産の品種「スナップエンドウ」。そして「グリンピース」は、実えんどうというむき身用品種の内、未熟なものを指します。糖がでんぷん化していない実の状態で食べるので、甘くて色も良く、でんぷんのモソモソとした食感も少ないです。さらに新芽を摘んで食べるものは豆苗。身が成熟すると、緑色のものは青えんどうと呼び、煮豆・甘納豆・うぐいす餡などの原料になり、茶褐色になるものは赤えんどうと言われ、みつ豆・豆大福などに使われます。この他にも、えんどう豆は存在しているので、えんどう豆は大家族なのです。


特にこの時期の旬として注目したいのがグリンピース。成熟していない豆であるグリンピースは、緑黄色野菜に分類されます。豆類特有のでんぷんやたんぱく質、糖質の他、カリウム・亜鉛・銅・マンガン・鉄・ビタミンB1、B2、B6・パントテン酸を多く含みます。食物繊維が豊富で、ひと掴みのグリンピースには大盛りの生野菜と同等量の食物繊維が含まれると言われます。中でも不溶性食物繊維の割合が多く、腸の蠕動運動を刺激するので便秘の改善が期待できます。そしてビタミンB1を含む野菜の代表格でもあります。ビタミンB1は日本人に不足しがちな栄養素で、糖からエネルギーを得るために不可欠なビタミンです。不足すると疲れやすくなったり、イライラしたりしてしまいます。食物から摂取しなければならない必須アミノ酸のリジンも含まれており、このリジンは米や麦には含まれないので合わせて食べるとアミノ酸を効率良く摂取できることになります。糖質も多く、カロリーも低いとは言えませんが、脂質がほとんど含まれませんし、何より優れた栄養素をたくさん持っているので積極的に食べたいものです。
ところがグリンピースは、苦手な野菜でも上位に出てくるほど人気が低いお野菜。食べ残ししやすい形状も相まって、最後にお皿の隅にひっそりと寄せられるのを目にすることがあります。生のグリンピースは春にしか食べられない旬の味覚。生のグリンピースは香りが良く、皮も軟らかいので、冷凍や缶詰とは全く違います。身体のデトックス効果も狙える旬のグリンピース、ぜひ食べ
てみるのはいかがでしょうか。

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

参考 「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代
   「公益財団法人 日本豆類協会」WEB
   「JAグループ」WEB

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