本当に安全?日本ではルール違反の表示になる「無農薬」の定義

スーパーやデパ地下のポップ、ネット検索などふとした時に目にする「無農薬」という言葉。この無農薬という表示、日本ではパッケージに明記することはルール違反になるとされています。

無農薬=安心というイメージがあるだけに、違反というネガティブな言葉は少々不安な気持ちになるかもしれません。

なぜ無農薬と表示できないのか、このコラムでしっかり解説していきます。



「無農薬」の表示=ガイドライン違反

農林水産省のルール「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」によると、無農薬という言葉は定義があいまいで誤解を与える可能性のある表示。

日本では、こうした表現の使用は基本的に禁止されています。

ちなみに特別栽培農産物は、一定のレベルと比較して、節減対象農薬の使用回数と化学肥料の窒素成分量がそれぞれ50%以下である食材。

「安心できる量を使って栽培しています」「規定量以上、農薬を使っていません」という表示であって、無農薬ではありません。

また、無農薬と同様に減農薬もガイドラインに違反した表示表記です。このような表示が違反とされる背景には、やはり比較対象があいまいであり、誤解を招く恐れがあることが最大の理由。

そのため農薬を使用していない場合は「農薬不使用」「栽培期間中農薬不使用」といったルールに基づいた表示で記載することになっているのです。

ちなみに無農薬とは、食物の栽培期間中に農薬を使用せず育てること。

無農薬で育てることが禁止されているのではなく、「無農薬表示」が誤解を招くから禁止されていると覚えておきましょう。



化学肥料等を使用しない「節減対象農薬」とは?

無農薬の部類には、もうひとつ節減対象農薬不使用の食材があり、これは化学農薬や化学肥料ではない一部の農薬が使われているという表示になります。

あまり聞きなれない言葉ですが、法律上は「節減対象農薬不使用」「農薬不使用」が正しい表示ルールとなるのです。

無農薬と表記した方がわかりやすい、という声もありますが、農薬を使っていても残留農薬がある場合もあります。

そうした場合はやはり「これは無農薬です」とは言い切れず、無意識に嘘をついたことになる可能性も考えられます。

とはいえ、「農薬=危険」ではありません。

人々の体内に入ってはいけないわけではなく、質のいい食材を育てるために農薬を使用している場合が多いので、それぞれのメリットデメリットを理解した上で選ぶようにしてくださいね。



農薬NGの方は残留農薬不検出をチェック

人の価値観は人と同じ数だけ存在します。農薬が絶対的な悪ではないとわかっていても、やはりできる限り農薬は避けたい、体内に取り入れたくないという方もいらっしゃるかと思います。

そんな方におすすめしたいのが、自治体等で監視されている「残留農薬不検出チェック」。残留農薬不検出の食材か調べてから購入するだけでも安心感が違います。



世の中に出回っている食材の多くは基準値以内の残留農薬といわれており、体内への影響について神経質になる必要はありません。

不安になりやすい方は、その不安を吹き飛ばすくらいの正しい知識を獲得して、自分に合う食材を見つけてくださいね。



参考

【JCPA農薬工業会】

【東京都保険医療局】

【SMART AGRI】

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