2019.11.11UP
二十四節気に合わせて心と体を整える“寒露”
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第11回は「寒露(かんろ)」です。
「寒露」とは10月8日~10月22日頃、秋の夜長に虫の声が大きく響き、山も高地から色づき始める心地良さを感じる季節。食欲の秋からスポーツの秋、読書の秋…なにをするにも快適な時季です。
この寒露の途中から、五行思想に基づく秋の土用に入ります。特徴としては、夏の努力の成果を発揮できる時期であり、魅力をアピールするチャンスです。自ら動くのではなく、周囲が自分のために動いてくれることが成功に繋がるとも言われています。
秋が旬の食材は沢山ありますが、今回は「柿に」ついて掘り下げてみます。薬膳的に言えば、柿は炎症を抑え、鼻炎を改善してくれる食べ物。乾燥した冷たい空気が原因で、咳が出ているときに柿を食べると、肺が潤い、咳を止める効果があるとされています。その他にも柿には、喉の粘膜を健やかに保つビタミンAや風邪予防に役立つビタミンCが多く含まれているのが特徴。柿を食べて免疫力を高め、冬に備えておくとよいでしょう。
とはいえ、食べ過ぎて便秘や下痢を起こしてしまう可能性があることも理解していなければならないのが柿。食べ過ぎてしまうと身体を冷やしてしまうので注意が必要です。なぜ身体が冷えるのか?これには理由が2つあり、その1つがカリウムです。カリウムは体内にある余分なナトリウムを、腎臓が吸収しないよう尿として体外へ排出する働きがあります。むくみが解消され、高血圧の予防へ繋げることができるため、一見すればメリットだけしか見えません。ですが、体を温めるために赤血球が酸素と熱を運ぶことが必須。赤血球を増やすためにはナトリウムが必要とされるため、塩分が足りていない人や、色白で冷え性の人が柿を食べる場合は、食べる量を意識しましょう。そしてカリウムに続くもう1つの理由がタンニンです。タンニンは強い抗酸化作用があり、動脈硬化や高血圧の予防効果があると言われています。ただし、タンニンは鉄と結びき、鉄分の吸収を妨げてしまいます。鉄分が足りなくなると、赤血球中のヘモグロビンが減り、体内に酸素を運ぶことが困難となり、体の冷えに繋がります。しかしながら、食べ過ぎに気を付ければ柿は美と健康を促す秋の食材。昔から「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われるくらい、栄養価の高い食べ物ですので、旬を楽しみながら積極的に食べましょう。
出典:「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代
いろとりどり(web)