2019.11.13UP
二十四節気に合わせて心と体を整える“大寒”
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事をして、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第42回は「大寒(だいかん)」です。
1月20日~2月3日頃の大寒。節分から次の暦がスタートするため大寒は旧暦の最後を飾る時期でもあります。大寒はその名の通り1年で1番寒い時期。この時期は冷えて胃腸虚弱になりやすいので注意が必要です。冷えは万病のもと、胃腸が冷えて弱ると身体全体が弱ります。食養生で身体を温め、身体の調子を整えましょう。今回は体調を崩しやすいときにおすすめの「里芋」について書きます。
里芋は胃腸機能を整える効果、皮膚や粘膜の炎症を鎮める効果など、さまざまな効果効能があると言われています。そもそも里芋はジャガイモやさつまいもに比べて、食べる機会が少ないようにも感じます。里芋は縄文時代から栽培されており、古くから食されていていました。ですので、ジャガイモやさつまいもが日本の歴史に登場してくる江戸時代初期までは、「いも」と言えば里芋を指していたのです。汎用性が高いジャガイモや、蒸かしたり焼くだけで甘いさつまいもに比べて、里芋はあの独特の粘りやねっとり感を苦手とする人が多く、ぬめりの処理が面倒などの理由から第一線ではなくなってきたようにも思います。
そんな苦手意識を持たれやすい里芋の下処理は、ぬめりを取るために行います。ところが里芋のぬめりこそ美容健康効果の高いガラクタンと呼ばれる栄養素。実は取り除くのはもったいないという考え方もあるのです。とはいえ、あのぬめりによって煮汁が吹きこぼれたり、濁ってしまうといった調理の不具合を生み出すのも事実。それだけでなく、味の浸透や熱伝導の妨げになり、仕上がりに影響を及ぼすのです。
里芋のぬめりをとる方法は、皮を剥いた里芋を重量の1割程度の塩で手早く揉み、流水で里芋同士をこすりあわせるようにして塩を一緒にぬめりを洗い流します。さらにぬめりを落としたい場合は、水から茹でて1度茹でこぼします。さらりとした煮物がお好みの場合は、茹でこぼす作業をすると良いですが、とろっとした煮物がお好みであれば、ぬめりとりは塩もみ程度にすると良いでしょう。
里芋の中医学的な効果効能は、気の巡りを良くして気持ちを落ち着ける、古い血の塊を取り除いて血行を促進する、消化を助け便通を良くする、肌に潤いを与える、皮膚や粘膜の炎症を鎮めると言ったものです。生まれつきに食が細く太りたくても太れない体質の人や、季節の変わり目で食が細くなった場合、二日酔いで一時的に食欲が落ちた場合にもオススメの食材なので、食欲がないときは少しずつでも里芋を食べると少しずつ改善していくかもしれません。
里芋の調理法は煮るだけではありません。里芋らしさを楽しむレシピも、里芋の苦手な部分を抑えた調理法もたくさんあります。里芋をもっと楽しみましょう。
里芋を使ったレシピはこちら
いかと里芋の煮物
<レシピの詳細は画像をタップしてください↑↑↑>
参考 「からだに効く 和の薬膳便利帳」武鈴子
「e-和漢堂」WEB