二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第19回は「立春(りっしゅん)」です。
立春とは2月4日~2月18日頃を指し、旧暦ではここから新年が始まります。ちょうど2月3日節分の翌日ですね。立春の「立」という字は始まりを示します。春は始まりの季節。長い冬の間に蓄えてきたエネルギーを使って、前に向かって駆け出していくスタートです。たとえ駆け出した時に違和感があったとしてもすぐに軌道修正をすれば問題ありません。始まったばかりということは軌道修正がきくのです。
立春に「これを食べよう」という食材は特にありませんが、最近では「立春朝絞り」という立春の日に作った搾りたての日本酒が流行り出しているようです。酒蔵がお近くにある方は縁起ものですので、買いに行ってみるのも良いかもしれません。
中医学的な見方をすると、立春の時期は“肝”です。春は冬の間に蓄積した肉・塩・油脂をデトックスする季節と言われています。実際のところ春野菜にはデトックス効果が高い食材が多くあり、体内毒素や不要物をデトックスできる身体の臓器は唯一「肝臓」だけです。
具体的に肝機能を高める食品で挙げるなら高たんぱくな食品がおすすめです。植物性・動物性のたんぱく質をバランスよく摂取することで肝機能の回復を促してくれます。例えば、牡蠣や魚介類に多く含まれるタウリンは、血液中のコレステロールを下げる、肝臓内の中性脂肪を下げる、アルコールの分解を早めるなど、肝臓にとても良い働きをしてくれます。また、えごま、レンコン、アーモンド、枝豆、ハト麦などオメガ3(DHA・EPA)を含む食材も効果的だそうです。春の食材ならニラがオススメ。肝機能の回復に加えて、肝臓の解毒作用が期待できます。中国では春になると積極的に食べるそうですよ。
また、肝臓と目は深い繋がりがあります。目の奥の痛みや凝り、痙攣は肝臓の不調からくると言われていますので、気になる人は肝臓のケアを意識してみてください。というのも、肝臓に過剰な栄養が溜まると、筋肉を動かして消費をしようと、筋肉の痛みやこむら返りがおきます。目を動かす筋肉も同様というわけです。
肝臓は食事と直結しています。身体の表面に不調が出やすいので、不調を感じたら食生活から身体をケアしていきましょう。さらに「肝」は「怒り」とも繋がっています。イライラした感情は肝臓に悪影響を与えます。リラックスして精神を落ち着かせることも大事な肝臓のケア。舌の両脇に歯の痕がボコボコとついている場合は要注意。内臓からのストレスサインですので、リラックス・リフレッシュを心掛けましょう。
新たなスタートとなる立春。身体の変化に注意して、自分を大事にしながら駆け出しましょう!
出典: 「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代
「CREDO」web