2019.11.12UP
二十四節気に合わせて心と体を整える“夏至”
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第28回は「夏至(げし)」です。
「夏至」とは6月21日~7月5日頃、2018年の夏至は6月21日になります。夏至は四季をバイオリズムで描いたときに頂点に当たる陽気盛んな時期です。
今回は夏至の時期に心と身体を整えてくれるお茶についてご紹介したいと思います。
梅雨が明けきらずジメジメとした日が続くと気分も晴れやかになりません。そんな時にお茶を飲むという行為は単純に水分補給というだけではなく、精神の安定や薬膳的効能も期待ができます。お茶は実にさまざまな種類があり、苦甘味で微寒性、瀉気作用があります。瀉気作用とは強すぎるものを適度に弱める作用のことです。
蒸し暑いときに冷たいお茶を飲むと気持ちをすっきりさせてくれるお茶ですが、まず思い浮かべる代表的なものといえば緑茶。薬膳の視点から見ると「涼性」つまり身体を冷やします。頭をすっきりさせて眠気を覚ます効果、消化促進効果、利尿作用があり、また体内に溜まってしまった余計なものを排出する力があります。身体を冷やすというと“冷え”を連想してしまい血液の巡りが悪くなってしまうのではないか?と心配になるかもしれませんが、薬膳とは食事全体で考えるものですので、温性の強いものを食べた後は、むしろ緑茶を飲んで温冷のバランスを取った方が良いとされています。
次は麦茶です。麦茶はノンカフェインでミネラルも多く、血流の流れをよくする作用があり夏に最適な飲み物としても知られています。身体を冷やす作用があるので、冷えが気になる場合は温めて飲むようにしましょう。
薬膳の効能が高いお茶の中には「はと麦茶」もあります。昔からイボ取りとして有名なはと麦は、余分な水分や毒素、異物などの排出作用に優れていて、新陳代謝を促進して新生細胞を生み出す効果が期待できます。美白へ導いてくれる効果もあるとされているので、美容面を気にする女性にもオススメです。はと麦茶も身体を冷やすので夏の飲み物には最適と言えます。日焼けが気になるこの時期はぜひ積極的に摂ってください。
薬膳の世界では毎日必ず摂る水分をお茶にして、個人の体質に合わせたお茶を持ち歩くという健康法があります。体質だけではなく、今日は脂っぽい物を食べる予定がある、飲み会がある、寒そうだ、暑そうだ、といった外的要因に対してお茶を選ぶのも簡単な健康法だと思います。マイボトルもすっかり日常生活に馴染んできました。これから暑さが増し、食の好みも夏に向けて変化していきます。みなさんも自分の体質に合ったお茶を持ち歩いてみてはいかがでしょうか。
参考 「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代
「からだに効く和の薬膳便利帳」武鈴子