「子どもが野菜を食べない。」「甘いものばかり好んで食べる。」そんな食育に関する悩みを持っていらっしゃる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。子どもの成長や健康を考えると、食べてほしい気持ちが先行してしまいますが、無理強いは禁物です。ではどうしたら良いの?という点も踏まえて、今日はお話していきます。
1.子どもの「嫌い」をなくす方法
生まれてから母乳やミルクを飲んでいた子どもも6ヵ月くらいから離乳食が始まり母乳以外の味に少しずつ触れていきます。この時期に素材の味をしっかり感じることは味覚の形成に大きな意味を持ちます。お子さまによっては、新しい味を知る過程で食べてくれない食材も出てくることでしょう。ここで大切なのは食べない食材に対して「苦手」「嫌い」と親が決めつけないことです。苦手や嫌いというレッテルを張ってしまうことで、食べるきっかけを失いやすいからです。食べてくれないときは、「今は気分じゃないのね。」と「今」を見てあげることが大切です。これは子どもが成長しても同じです。「次は食べられるかもしれない。」と親子で希望を感じることで案外食べてくれたりもします。
ですので、子どもが食べない食材を食卓に並べることはとても大切。家族が美味しそうに食べている姿を子どもが見て「ちょっと食べてみようかな。」と思うきっかけにつながることもあるのです。
2.子どもの味覚の作られ方
舌で感じる味は基本的に「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つです。子どもは生まれたときから甘味、塩味、うま味は生存に必要な味覚として持っていると言われています。ですから「美味しい」と感じやすく食べてくれる味でもあるのです。酸味や苦味は身に危害を及ぼしかねない味であり危険と判断し「まずい」と感じるのです。しかし大人は酸味のあるレモンや苦味のあるコーヒーなども美味しいと感じるようになりますよね。これは食経験を通じて「安全である」と認識できたからなのです。子どもの頃から素材の味に慣れ親しみ、経験を積んでいくことで、酸味や苦味の味も受け入れられるようになります。
ですが、粉末ダシやケチャップ、ソース、ドレッシングなどの調味料は、味が濃く素材本来の味を消してしまい味覚が鈍くなる危険があるといわれています。月齢が小さい子どもほど薄味を意識し、かつおや昆布などのうま味を感じられるものにしておくとよいでしょう。そうすることで、大人になった際に食生活が乱れたとしても、立ち返りやすくなります。
3.食事は楽しむもの
一生懸命作った食事を食べてくれないのはとても残念ですが、無理強いは禁物です。強制的に食べさせられた経験にはネガティブな思い出として残りやすく、「食事は怒られるもの」という認識になりかねないからです。焦らずじっくりと食経験を増やしてあげることを意識して、長期戦で臨みましょう。今は食べられなくても、いつか食べられるようになる。そんな穏やか気持ちで見守ることで食事は楽しく豊かになるでしょう。
参考文献
・子供の味覚の育て方(日東書院)
・子供の味覚を育てる 親子で学ぶ「ピュイゼ理論」(cccメディアハウス)