「二十四節気に合わせて心と体を整える“雨水”」

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、
自然の流れに沿った食事を通じて、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第68回
は「雨水(うすい)」です。


2月19日~3月4日頃の雨水は、厳しい寒さから少しずつ春に向かっていくの
を感じ、降る雪が雨となり、積もった雪が溶けて水になる時期。今回はそんな
季節に食べたい「はまぐり」をテーマにお届けします。


体における春の養生ポイントは、冬に貯めこんでしまった不要なものを体外
に排出すること、つまり「解毒」です。解毒作用のあるものは苦味のあるもの
が多いとされ、山菜などがその代表格になります。その利尿作用や食物繊維の
多さで解毒をすることに加えて、陰陽五行説における春の五臓である「肝」の
働きを高め、解毒を促すことも大切です。


タウリンという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、タウリンにはさま
ざまな効果が期待できるといわれています。


・血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす

・血圧を正しく保ち高い血圧を下げる
・肝臓の解毒能力を強化する
・インスリン分泌を促進し糖尿病の予防と治療に有効
・視力の衰えを予防する
・新生児の脳や網膜の発育を助ける

このような働きが期待できるのです。陰陽五行説に当てはめてみると、春は「
肝」「胆」「眼」「筋」。つまりタウリンは春に積極的に取り入れたい栄養素
になるのです。タウリンが含まれている具体的な食材を挙げると、イカやタコ

、貝類、甲殻類及び魚類(心臓・脾臓・血合い肉)に多く含まれています。水
溶性のアミノ酸ですので、加熱したら汁ごといただくようにするのがオススメ
です。春に旬を迎える貝類は、春に食べるべき。まさに旬をいただく食養生で
すね!


その中でも今回のテーマ食材「はまぐり」は多くの栄養素を含み、味も濃く
、濃厚なだしが取れます。どんな野菜とも相性が良く、野菜の美味しさを引き
立てるほか、少し苦味のある春野菜の代名詞、菜の花との相性も抜群です。今
月のレシピには手に入りやすく好き嫌いの少ない小松菜と合わせましたが、菜
の花も小松菜も熱を冷まし炎症を抑えてくれる効果が期待できますので、春の
気の高ぶりやのぼせが気になる方は、ぜひ摂り入れてみてください。また、は
まぐりは身体を冷やすので熱性であるにんにくを足すと冷え対策にもつながり
ます。


はまぐりの貝殻は同じ貝同士でないとぴたりと合わないことから夫婦の縁起
物ともされており、3月3日の桃の節句にも欠かせません。見た目の華やかさだ
けでなく、女の子が将来良縁に恵まれ、はまぐりのようにぴたりと添い遂げら
れますようにという願いが込められています。


国産のはまぐりはこの季節にしかいただくことができない旬の味。季節を楽
しみながら食養生をして身も心も不安定になりがちな春を乗り切りましょう。

参考

「農林水産省」WEB
「和の薬膳便利帳」武鈴子

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

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