二十四節気に合わせて心と体を整える“夏至”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第75回は「夏至(げし)」です。

6月21日~7月5日頃、2020年の夏至の日は6月21日になります。夏至は四季のバイオリズムをえがくときに、頂点となる陽気盛んな頃です。今回は、そんな夏至の日に食べられる「いちじく田楽」についてお届けします。

いちじく田楽は、愛知県の一部地域で夏至の日に食べられているお料理です。愛知県はいちじくの生産量が日本一。秋の果物というイメージが強いいちじくですが、夏に実を付ける種類と秋に実をつける種類があるのです。夏に実をつける種は、収穫が梅雨の時期と重なるため、どうしても傷みやすく、流通も難しくなります。その為、生産地域周辺での消費になってしまうそうです。いちじく田楽は、いちじくを縦半分に切り、断面に田楽味噌を塗って、トースターやグリルで焼き上げたもの。愛知特有の赤味噌風味としょっぱさ、焼き目の香ばしさ、いちじくの上品な甘さと瑞々しさ、絹のようななめらかさで、何ともいえない美味しさです。米茄子の田楽に似ているイメージでしょうか。この食べ方は生産日本一である愛知県ならではですよね。

そしてこのいちじく、解毒作用が高く、痔やイボ、のどの痛みなどの腫れ物に効果があるとされており、胃腸を整えて便秘や下痢にも有効とされています。昔から「不老長寿の実」と呼ばれ、旧約聖書にも登場する薬効高き果物なのです。生でそのまま食べるのはもちろん、肉や野菜と合わせて食べるのもおすすめ。レストランではソテーされたいちじくをフォワグラや鴨肉と合わせて出されたりしますよね。鶏肉や豚肉にもよく合います。バルサミコ酢とオリーブオイル、醤油、赤ワイン、はちみつを煮詰めて作るソースを覚えれば、無敵の美味しさです。生のままならサラダと合わせると簡単。ベビーリーフと合わせ、バルサミコ酢とオリーブオイル、塩コショウだけのシンプルな味付けでベストマッチなドレッシングが作れます。おもてなしにもピッタリな一品です。

夏至の日に食べる習慣がある食材では、関東地方なら新小麦で焼き餅を、島根県と熊本県では小麦で団子やまんじゅうを作り神様に供えたり、振るまいを、香川県ではうどんを食べる…と小麦の収穫を祝うことが多いようです。さらに大阪では半夏生の頃に合わせてタコを食べ、京都では水無月という和菓子を食べます。福井ではサバを食べるようです。冬至の南瓜のように明確に何か食べる風習がないのが夏至の特徴でもあります。

今年の夏至は、何を食べてみようか調べて作ってみるのも面白いと思います。


(オフィシャルメンバー:滝野香織)

参考 「いい日本再発見」WEB
   「JAあいち」WEB 
「からだに効く和の薬膳便利帳」武鈴子

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