「二十四節気に合わせて心と体を整える“小暑”」

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第76回は「小暑(しょうしょ)」です。

7月7日~7月22日頃となる小暑は、梅雨が明け、だんだんと暑さが本格的になる季節です。高温多湿の毎日でエアコン漬けになってしまい、疲れやすくもなる時季ですよね。今回は「生姜」をテーマにお届けします。

生姜といえば体がぽかぽか温まる代表格。冬のイメージが強い食材ですが、夏のエアコンによる隠れ冷え症にも欠かせない野菜です。

新生姜は生姜を早堀したものや、収穫したてのものを指す新生姜の旬は6~8月、根生姜は9~11月。新生姜は辛味が穏やかで、やわらかくみずみずしいのが特徴です。ふっくりと白く、先がピンク色なのも何だかかわいらしいですよね。一方で1年中売られている生姜は「ひね生姜」と呼び、秋まで育ててから収穫します。その後さらに2~3か月貯蔵され水分が抜かれるので、筋が強く辛みも強いです。ちなみに双方の栄養成分に違いはありません。

生姜は体を温め、熱を追い出す発散作用があり「百邪を防ぐ」ともいわれています。細菌やウイルスを撃退する効果が期待できることは昔から知られており、葛根湯の生薬にもなっています。生姜はその辛味成分(ジンゲオール)に殺菌・抗菌作用、解毒作用、消臭作用があり、新生姜のように生姜を生食するとこれらの効果を発揮できるといわれています。お刺身のガリや、魚にはじかみが添えられていることには、意味があるのです。新生姜の出回る季節は食中毒が多くなる季節。やはりここでも旬を食することの大切さがわかりますよね。胃腸を活性化する効果も期待できますので、食欲が減退しやすいこの時期にオススメといえます。

とはいえ体を温め、発汗を促す効果が高いため、摂りすぎると汗で熱を逃がし過ぎてしまい、逆に体を冷やしてしまう可能性があるので摂りすぎには注意が必要です。薬味程度の摂取がちょうど良いのです。もともと胃腸が弱い方は刺激が強すぎるので摂りすぎには注意をしてくださいね。

生の生姜に含まれる「ジンゲオール」は、血の巡りを良くする働きが期待できますので、体の中心の熱を末端に運ぶことで末端を温めます。さらにジンゲオールは熱を加えると「ショウガオール」に変化します。ショウガオールには熱を作り出す働きがあるので、体の中心から温まるのです。

この時期はエアコンの効きすぎで体が冷えてしまうことも多いかと思います。末端が冷えて体の中心は冷えていない場合は、生食向きである新生姜をいただきましょう。体の芯から冷えてしまった場合は、加熱した生姜を摂るのがおすすめです。ただし外に出て暑い思いをする場合は、体に熱がこもりすぎてしまうので摂りすぎに注意してくださいね。

今年の夏の隠れ冷え症は、生姜をうまく取り入れて乗り切りましょう。

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

参考 「からだに効く和の薬膳便利帳」武 鈴子

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