二十四節気に合わせて心と体を整える“白露”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに食事を通じて健やかで彩り豊かな毎日をおくる、第80回は「白露(はくろ)」です。

9月8日~9月22日頃、本格的な夏が終わりを迎え、朝晩は涼しくなり秋の足音が聞こえてきます。今回は「秋ナス」をテーマにお届けします。

ナスは1年中スーパーで買うことができ、和洋中なんでもOK。炒める・焼く・蒸す・茹でる…どんなメニューにも対応できる万能選手です。正確な旬は6~9月。といっても、6月から9月までずっと同じナスの株から収穫し続けるのは、ナスにとって厳しく困難です。

ナスの株を気温が高い盛夏の時期に1度発育を休ませる「更新剪定(ほとんどの枝葉と根を少し切る)」という方法をとると、涼しくなる初秋頃に株が元気を取り戻してまた実をつけ始めるのです。切り戻し前が夏を旬とするナスで、暑さに対抗するため、皮が厚めです。それに対し、切り戻し以後に実る「秋ナス」は身がしまった形にはなりますが、実も皮も柔らかくうま味が増して美味しくなるそうです。

秋ナスといえば「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざが浮かびます。意味は2つあり、1つは「秋ナスは美味しいので嫁には食べさせない」という姑の意地悪なもの。もう1つは「ナスは身体を冷やすので妊娠しにくくならないように」と健康に気遣った優しいものです。そのような理由もあり、とにかくナスは体を冷やします。薬膳の世界に置いてナスは、寒い時期に食べるなんて言語道断と言わんばかりの野菜なのです。食べ過ぎに注意するほか、にんにくや生姜など温め作用の強い食材と合わせて冷えを中和することも大切です。

また、ナスは過剰な熱を冷まし、炎症を鎮め、腫れを抑えるなど熱による症状を改善する働きに優れ、特に口内炎に効果があるといわれています。口は脾と胃の状態の窓口と薬膳の世界では認識されていますので、暴飲暴食で胃が熱をもってしまった結果起こる口内炎は、熱を冷ますナスが効果を発揮するのです。

その他にもナスのヘタ(がく)の部分には効果効能が詰まっていて、黒焼きにして薬にする民家療法が知られています。インドではナスの一番美味しいところはヘタ(がく)といわれており、可食部分よりも人気なのだとか。ヘタ部分をがくごと縦に4~6割りにして、ほかの部分と一緒に炒めます。トゲや明らかに硬そうながくに筆者も半信半疑でしたが、食べてみるとなんと美味しいこと!!ナスのうまみがギュッと詰まっていて、スーパーの野菜が産直の野菜に思えるほど!むしろトゲや硬さは気になりませんでした。ヘタ部分は成長点でもあり、がくの濃い紫色にはポリフェノールが多く含まれます。ナスのヘタは、当たり前に切り落としていた今までを後悔するくらい美味しいので、ぜひ食べてください。(農薬が気になる場合は無農薬のものを選ぶか、無理に食さないようにお願いします)

今年はナスの旬が短期間に2回あると意識して秋ナスの美味しさを楽しめると、食が豊かになりますね。

参考
「からだに効く和の薬膳便利帳」武 鈴子 
「おうちごはん」WEB
「マイナビ農業」WEB

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

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