二十四節気に合わせて心と体を整える“霜降”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第83回は「霜降(そうこう)」です。

10月23日~11月6日頃となる霜降は、だんだんと寒さが本格的になる時季です。秋の味覚と冬の味覚が混在し、温かいお料理が恋しくなるのもこの頃ですよね。そんな今回のテーマは「白い食材で秋の不調を乗り切ろう」です。

薬膳の基本「陰陽五行説」において、秋は五色のうちで「白」を表し、五臓は「肺」、五腑は「大腸」、五主は「皮毛」、五竅は「鼻」を表します。五味は「辛」で、にんにく・生姜・ネギ・大根など、体を温めて滞ったものを追い出す発散作用がある食材が属します。つまり秋が深まるこの時期は、乾燥して冷えた空気に変わることで、鼻や肺がダメージを受けやすくなります。そこから身体の不調が起こりやすくなるので、注意して養生をしましょうということなのです。

くしゃみや鼻水は、身体がウイルスと戦う防衛機能。薬で抑えることだけが、すべてではないと思います。また、秋は朝夕に冷え込むことで表皮(=毛穴)が閉じてしまうことも肺や呼吸器の負担になります。汗腺からの汗という排泄が減ってしまうので、その分を鼻や口などの呼吸器が肩代わりしなければならなくなるのです。この余分な水分が咳や痰、くしゃみとなって表れるのです。朝に咳や痰、くしゃみが多いのは、そのせいもあります。余分な水分が体内に滞っている状態ですので、黒豆・ハト麦・ワカメなど水分代謝を促す食材を摂り入れるのがおすすめです。これらは黒い食材ですが、お隣の「冬」の五色にあたり、相生(パワーを高める)関係性なのです。

秋の食材は、こうした空気の乾燥から肺や呼吸器を守るため、肺やのどや鼻を潤す薬効をもつのです。梨・栗・ぎんなん・柿・きのこ・かぶ・れんこんなどです。また、里芋やネギは表皮を開いて、汗や不要な物質を排出する発散作用に優れているうえ、気や血のめぐりも良くしてくれます。旬の食材を摂ることで自然と食養生できるのです。

秋は「白い食材」を意識して摂るようにしましょう。鼻やのどの乾燥が気になる時は、より積極的に摂るのがおすすめです。調理法方法としては、やはり温かくすべきです。温かいお料理の湯気も鼻やのどを直接的に潤してくれます。そして秋が深まり冬に向かっていくにつれ、今度は黒い食材を摂るようにしていくのです。こうして五行説に沿って食養生していくのは、とても効率が良く、そして身体にもしっくりくるのです。ぜひ意識してみてくださいね。


参考:
「からだに効く 和の食材便利帳」 武鈴子
    

(オフィシャルメンバー:滝野香織)

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