「塩は大切」

塩は大切。そんな一般常識は多くの人が知っています。塩は人間、もとい生物が生きていく上で必要なもの。でも摂りすぎると血液、血管、脳、各臓器に悪影響を及ぼします。


そもそも人間が生きていく上で必要な塩分量(1日当たり)はどのくらいかご存知でしょうか。その量はなんと1.5g!ふたつまみ(小さじ1/3)程度なのです。かなり少ないですよね…。海水や岩盤などから塩を作り出す前の太古の人類は、塩分を食肉や動物の血液、乳(ミルク)から摂取していました。つまりそれで十分なのです。


人間の身体は腎臓でナトリウムを再吸収できるので、新たに摂取するのは1.5gで良いことになります。しかし人類が農耕を始めると、劇的な変化が起こります。野菜や穀物をたくさん食べることによって、それまでよりカリウムの摂取量が格段に増えたのです。カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を妨げ、排出します。言い換えれば、人類は今までにないナトリウム不足に陥ってしまったのです。そこで人類は海水などから塩を作り出すことに成功し、今度は塩分摂りすぎの事態に陥ってしまうことに繋がるのです。


さらに塩には麻薬と同じくらいの中毒性があると言われています。だんだんと舌は塩味に慣れていき、身体が必要としている量を通り越して、必要以上に塩を摂るようになりましたが、20年ほど前に日本でも減塩ブームがありましたよね。こうした過程から塩は悪の権化のような存在となり、減塩の商品がたくさん世の中に出てきました。その甲斐あってか現在の日本人の食塩摂取量は少しですが減少傾向にあるようです。それでも10g程度と高値をキープしているため、目標とされる男性8g、女性7gにはまだまだ遠いのが現状です。


とはいえ、塩分をとにかく減らせばよいというのも正しいわけではありません。ナトリウムが減りすぎてしまうと、体温が下がってしまうだけではなく、高血圧励起・心筋梗塞危険度アップ・糖尿病の悪化・交感神経緊張、代謝ダウン・免疫能力ダウン・ガンの危険性アップなどの危険があるのです。


塩は大事なミネラル源であることを忘れてはいけないということですね。それよりも注意すべきは、その塩が「精製塩」か「天然塩」かであること。精製塩は塩化ナトリウム99%以上の人工物。これは万病のもとである活性酸素を増やし、体内のミネラルバランスを崩すので、単純に体に悪いとされています。一方で「天然塩」は、塩化ナトリウムの他にマグネシウム・カリウム・カルシウムなどたくさんのミネラルを含みます。海水・羊水・血液・点滴のミネラルバランスはほぼ同じ。点滴を1日中打っていっても塩分過多の心配をすることはありませんよね。大切なのは、塩のなかにどれだけ塩化ナトリウム以外のミネラルが含まれているかなのです。天然塩は多少値が張りますが、将来の自分への投資だと考えれば、病気にかかるよりは安いものです。市販品の塩分は安価な精製塩で作られているものがほとんどです。

全ての食品を天然塩で選ぶことは困難なので、自宅の塩を天然塩に変えるだけでも違うのではないでしょうか。塩との付き合い方も「量と質」どちらも大切に考えていかなければいけませんね。

(オフィシャルメンバー:滝野香織)


参考 「厚生労働省国民健康・栄養調査結果の概要」
「NHKスペシャル」
「日経プレジデント」

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