少ない煮汁で弱火で煮るのがポイント
煮魚は「難しそう」「めんどくさそう」というイメージが根強いですが、実際には、シンプルなものです。ただ、シンプルなものほど、うまくいくにはどうしたらいいのかと悩んでしまいますよね。例えば、白身魚の煮付けで起こりやすい失敗のひとつが、「煮崩れ」です。白身の魚は加熱すると身がもろく、崩れやすくなります。煮崩れると見た目が悪くなりますし、おいしさも失われてしまいます。煮崩れを防ぐには、とにかく衝撃を与えないことが重要です。火が通る途中、半煮えの状態は特にもろく、少しぶつかっただけで崩れてしまうので要注意です。食材を触らないようにするのはもちろんのこと、食材が動きにくいよう少量の煮汁で煮たり、激しく沸騰しないよう火加減を調節したりするのも効果的です。煮汁は、魚が完全につからないくらいの量で煮るようにしましょう。煮汁が多いと、鍋や魚同士がぶつかりやすくなり、身が崩れたり皮がはがれたりする原因になります。また、魚から出たうま味が薄まってしまうのももったいないですね。魚のように、火が通りやすい食材を煮る場合、食材全てが煮汁につかっている必要はありません。ちゃんと味がつくのかと心配になるかもしれませんが、アルミホイルなどで落とし蓋をしておけば大丈夫です。沸騰した煮汁が落とし蓋の裏側をつたって広がり、食材の上からふりそそぐため、全体にまんべんなく味が染み込みます。
火加減調節はおまかせで安心・楽々
煮汁を少なくすると食材は動きにくくなりますが、温度も上がりやすくなるので、気が抜けません。激しく沸騰して身が崩れてしまったり、煮汁が焦げ付いてしまったりしないよう、火加減に注意する必要があります。マルチグリルの「煮る」モードでは、煮汁が沸騰したら自動的に火を弱め、98~100°Cを維持してくれるので、安心して他の料理や洗い物にとりかかることができます。また、マルチグリルで作ると、煮汁の「対流」が少ないのも利点です。コンロで作ると、鍋の底と水面の温度差によって、煮汁が上下に入れ替わる「対流」という現象が起こります。対流が激しくなると、煮汁と一緒に食材が動き、煮崩れしやすくなります。マルチグリルだと、キャセロール全体がグリル庫内で保温されていているため上下の温度差が少なく、煮崩れを防ぐことができます。