二十四節気に合わせて心と体を整える“冬至”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第16回は「冬至(とうじ)」です。

冬至とは12月22日~1月4日頃、1年のうちで1番昼が短くなる時期です。

冬至の日(12月22日)は南瓜を食べてゆず湯に入るという習慣は数ある日本の習わしの中でも比較的定着し、行動に移されているものだと感じています。

中医学の目線で南瓜についてみてみると南瓜は甘味平性、補気作用があり、五行は脾土に属します。すなわち、味は甘く、体を温めも冷やしもしない。気(体のエネルギー・元気・気合い)を補う=元気をつける、という意味です。

では、なぜ夏に収穫される南瓜を冬至に食べるのか?これにはいくつかの理由があるようです。

①陰の極まる冬至に対して、陽の極まる夏の冬至があります。陽の時期に収穫した南瓜を食べて陽を補うという意味。

②南瓜は切らなければ保存性に優れています。緑黄色野菜の少ない冬の時季まで保存することで栄養源にした。

③「運盛り」という願掛けに由来し、縁起の良い「ん」のつく食べ物を食べる。南瓜は「なんきん」。

上記以外にも諸説あるとは思いますが、代表的なものはこのくらいかと思います。

そしてもう1つの習慣「ゆず湯」について。これは運を呼び込む前の禊(みそぎ)であると言われています。冬至は翌年の天候や農作物の出来を占う日であり、この日から昼の時間が長くなる「一陽来復」になることから、体を清める必要がありました。今のように毎日お風呂に入る生活習慣がない代わりに、特別な日や儀式の前日に体を清めるという意味でお風呂に入っていたのです。そのため、冬至にお風呂に入ることは大切な意味を持っていたといえるでしょう。

また「ゆず」という言葉から「融通」が利く人間になるようにという願いと、「冬至」と「湯治」をかけて縁起よくしている意味もあるそうです。さらに、ゆずの強い香りは邪気を払う効果があります。効果効能は、血行促進、風邪予防、疲労回復、リラックス効果、美肌効果など魅力がいっぱい。ただし、スーパーに売られているゆずは農薬が多く付着している可能性が高いのでよく洗うようにしてください。この農薬が肌にピリピリとした刺激を与えてしまうのです。キレイに農薬を洗い流してもピリピリする場合は、ゆずの持つ強い刺激によるものです。湯舟に浮かべる前に、熱湯で20~30分蒸らしてから使うと刺激が抜けるそうなので肌への刺激が気になる方は試してみてください。皮膚の弱い方は、湯舟には浮かべずに、湯につかりながら香りだけを楽しむことでも十分ゆず湯の気分が味わえるのではないでしょうか。

今年の冬至は南瓜を食べてゆず湯に入りましょう。そして陽に向かって弾みをつけましょう。

出典:「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代 ダイヤモンド社

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