お正月は日本酒で厄除け!邪気を振り払うお屠蘇で幸福力アップ!

新年の始まりを迎えるお正月は、いつの時代も日本人にとって特別なもの。初詣やおせち料理など、古くからの伝統風習が現代も変わらずに続いていますが、そのひとつにお正月ならではの「日本酒」の楽しみ方があるのをご存じでしょうか。

今回のコラムでは、邪気を払い、家族健康・長寿祈願を込めたお正月のお酒「お屠蘇(おとそ)」についてお届けします。

1年間の邪気を払う「お屠蘇」ってなに?

平安時代から正月行事として親しまれていたお屠蘇は、新年が明けた元旦の朝に頂く縁起物の酒のこと。酒・みりんなどに生薬を浸して作る薬草酒のひとつで、正式名称は「屠蘇延命散」と呼ばれています。

邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇らせるという意味を持つ屠蘇は、「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一里病無し」とも言われ、1年の始まりに家族の健康を祈って飲む縁起担ぎのお酒として嗜むもの。長い歴史を持つ日本酒は邪気を払う新年の福寄せとして親しまれていたのです。

■お家でも簡単につくれるお屠蘇

お屠蘇の作り方は日本酒とみりんに屠蘇散を浸けるだけ。家庭でも簡単にできる縁起酒です。酒販店やスーパー、ドラッグストアなどに行けば、数種類の生薬が調合された屠蘇散がティーバッグのようにして販売されているのですぐに分かるでしょう。最近ではAmazonや楽天ショップなど、ネット通販でも購入できるので、簡単に手に入れることができます。

一般的には5〜10種類の生薬が配合されていますが、代表的な生薬をまとめてみました。

【百朮(びゃくじゅつ)】

利尿作用、食欲を抑える、抵抗力を強化する

【山椒(さんしょう)】

発汗作用、胃腸の働きを促す、代謝促進

【桔梗(ききょう)】

鎮咳、のどの腫れを緩和する

【肉桂(にっけい)】

解熱作用、発汗作用、頭痛、胃腸の働きを促す

【経皮(けいひ)】

食欲不振、神経性胃炎、慢性胃炎

【防風(ぼうふう)】

発汗・発散を促す

【陳皮(ちんぴ)】

胃もたれ、消化促進、食欲増進

【大黄(だいおう)】

高血圧、便秘改善、月経不順

お屠蘇の作り方はとってもシンプル!大晦日の夜に日本酒と本みりん300mlを用意し、屠蘇散を5〜8時間ほど浸して完成です。辛口好みの方は日本酒の割合を多めに、甘口好みの方は本みりんを多めにするとオススメです。

■家族で健康祈願!お屠蘇の正しい飲み方

古来より伝統風習として受け継がれてきたお屠蘇の飲み方は地域によって少しずつ飲み方が異なります。ここでは代表的な飲み方を紹介します。

①元旦の朝に汲んだ新年の若水で手を清めます。神棚や仏壇がある家庭は新年の挨拶も忘れずに。

②正式には屠蘇器という盃で頂きますが、家庭にある酒盃でもOKです。

③おせち料理やお雑煮など、正月料理を食べる前にお屠蘇を食卓に並べます。

④飲むときは全員、東の方向を向きます。

⑤最年長者が最年少者に1つの杯に対して3回注ぎ、若い人から順番にお屠蘇を飲みます。※地域によっては最年長者から飲む場合もあります。

⑥飲み方は最年長者の正面に座って、お互いに一礼。三口に分けて飲み干します。※未成年の場合は盃を口につけるだけでOKです。

⑦飲み終わったら、飲み手と年長者が再び一礼。

おせち料理を始め、正月早々は新年会などなにかと暴飲暴食に悩まされる時期。胃腸の働きを促し、血行・発汗を促進させながら風邪などを予防してくれるお屠蘇はまさに身体に気を使う飲み物です。

新年を迎えられたことを祝い、家族の健康や厄除けなど年始めの縁起を担いでくれるお屠蘇。元旦だけでなく、三が日の来客時に出して新年の挨拶として振る舞うお酒でもあります。古来より伝わる伝統をぜひ肌で体感してみはいかがでしょうか。

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