2025.7.13UP
夏のおにぎりは大丈夫?旅行やお出かけの持ち運びで気をつけたいこと
夏のレジャーや旅行の楽しみといえば、お弁当タイム。なかでも「おにぎり」は、手軽で持ち運びやすく、多くの人にとって定番の“行楽のお供”です。とはいえ、気温と湿度が上がる夏場は、思わぬ落とし穴が潜んでいることも。
このコラムでは、夏のお出かけ時におにぎりを安全に楽しむために知っておきたいポイントを、生活者の視点を交えながらご紹介します。
なぜ夏場のおにぎりは要注意?
気温が30度を超えるような夏の日、おにぎりを持ち歩くことは、リスクが高い行動です。その理由は、高温多湿の環境下では細菌の繁殖スピードが一気に上がるから。特に注意したいのが、黄色ブドウ球菌やセレウス菌といった食中毒の原因に。前者は手指に常在している菌で、素手で握ったおにぎりから繁殖しやすく、後者はご飯などのデンプン質を栄養にして増える性質があるとされています。つまり「手で握る+ご飯である+高温になる」という条件が揃ったおにぎりは、夏場には非常にデリケートな存在になるのです。
傷みにくいおにぎりを作るには?
注意が必要な夏場のおにぎり作りの基本になるのは「清潔さ」と「具材の選び方」です。とりわけ見落とされがちなのが調理中の手の扱い。皮膚に存在する菌は、知らず知らずのうちにご飯に移ってしまう可能性があるため、夏場はできるだけラップや調理用の手袋を使って握るなどの工夫が推奨されています。
また、具材選びも水分が多く、加熱されていない食材は避けた方が安心。たとえば明太子やマヨネーズ入りのツナなどは、食中毒の原因になりやすいため、夏のお弁当としては不向きです。反対に、梅干しや塩昆布、焼き鮭など、抗菌作用がある、または水分量の少ない具材を選ぶと比較的安全性が高くなるのでオススメ。昔からの知恵でもありますが、現代の食中毒リスクにもマッチした選び方といえるでしょう。
おにぎりの「冷まし方」が安全を左右する
もうひとつ、夏のおにぎりを語る上で重要なのが「握った後の扱い」です。炊きたてのご飯をそのままラップで包むと、中に蒸気がこもってしまい、結果として水分が多い状態に……。この状態で放置すると、内部で菌が繁殖する温床となってしまうのです。対策としては、炊きたてご飯をいったんうちわなどで冷まし、握った後も再度しっかりと粗熱をとること。完全に冷めてからラップや保存容器に入れることが重要です。
また、持ち運び中の温度管理も無視できません。最近では、保冷剤付きのお弁当ケースや、おにぎり専用の保冷バッグなども販売されていますので、これらを上手に活用することで、食中毒のリスクが軽減されます。
海苔は“巻かない”が正解?
おにぎりといえば、パリッとした海苔も楽しみの一つですが、この海苔も夏場にはひと工夫が必要です。というのも、海苔は湿気を吸収しやすく、ご飯と密着させたまま長時間置いておくと、食感が損なわれるばかりか、内部に水分がこもることで菌が繁殖しやすくなります。そのため、夏場のおにぎりでは「海苔は別添え」がおすすめ。食べる直前に巻くスタイルのほうが、食感も楽しめ、衛生的でもあります。市販のおにぎりフィルムのように、海苔とご飯を分けて包めるラップを使えば、家庭でも同じ工夫ができます。
「冷やしすぎ」もNG?知っておきたい冷蔵庫との付き合い方
「とにかく冷やせばいい」と思ってしまいがちですが、ここにも注意が必要です。おにぎりは冷蔵庫で保存すると、ご飯が固くなってしまうことがあります。冷蔵庫で保存したおにぎりを持ち出す場合は、ラップを外し、新しいラップで包み直すだけでも余計な水分が除去でき、品質を保ちやすくなりますので、ぜひ試してみてください。
安全とおいしさ、両立のコツとは?
「せっかく作ったのに、食べるのが不安で楽しめない」そんな心配をしないためにも、夏場の持ち運びおにぎりには“ちょっとした工夫”が必要です。今回ご紹介した通り、手を清潔に保ち、加熱した具材を選び、冷ますタイミングを見極める。そして保冷アイテムを上手に活用する。これらを習慣にするだけで、リスクを軽減し、夏場でも安全で美味しいおにぎりを楽しむことにつながります。日差しの下で食べるおにぎりは、やっぱり格別。ちょっと面倒かもしれませんが、「おいしくて、安全」な一個を手にするために、できることから始めてみてくださいね。
参考: