2019.11.12UP
カビ
梅雨といえば「カビ」を思い浮かべてしまうほど、この時期はカビとの関係が深くあります。酒やみそ、チーズなどの発酵食品はカビ菌を利用して作られますが、カビの発育状況に最適な梅雨時期の湿気と気温の上昇で、食品に意図せず生えてしまう青カビ・黒カビ・赤カビに悩まされるのもこの時期です。食品を腐敗させるだけでなく、その毒素から食中毒の症状やアレルギーを引き起こしてしまうほか、中には発がん性の危険性もありますのでとにかく注意が必要です。カビの部分だけ取り除けば食べられると思っている方もいるかと思いますが、カビが表面に見えているということは内部にまでカビが広がっている状態ですので、その部分だけ取り除いてもカビを除去したことにはなりません。加熱すれば大丈夫とも考えてしまいますが、カビ毒は通常の調理温度(100~210℃)、時間(60分以内)では完全に分解することができません。1度でもカビが生えてしまった食品は廃棄するしかないのです。
カビが発育する要因は5つ。①酸素②温度③水分④水素イオン濃度⑤栄養分がポイントです。食品に脱酸素剤が入っていたり窒素充填しているのはそのためです。カビは5~45℃の中で発育するのですが、最も発育するのは15~30℃、まさに今の時期です。冷蔵や冷凍、乾燥、ジャムなどの高糖度加工、漬物などの高塩蔵加工はカビの発育を抑制した食品保存方法なのです。
人に有害なカビにはいくつか種類があります。認知度が高いものでいえば青カビ。主に柑橘類やパン、お餅、乳製品に生えます。ペニシリンのもとであったり、ブルーチーズのように食品であったり目に付く場面もさまざまで多くの種類があります。実は青カビ自体に強い毒性のあるものは少なく、食べてもすぐに被害はないと言われています。発がん性のあるカビ毒ではありますが、長期間食べ続けた場合です。しかしながら、複数のカビが合わさっているケースが多いため、見た目では判断しにくいのが現状でもあります。食品を腐敗させるので、やはり食べない方が賢明といえるでしょう。
次に良く見かけるのが野菜などに生える黒カビです。湿気が多いところに生え、繁殖力の強さが特徴です。乾燥にも強いためアレルギーの原因にもなります。ススカビという灰黒色のカビは果物やうどんに生えますので見かけたら注意しましょう。このカビはクーラー内部やタンスの裏側、ビニールクロスに生えるものと同じです。喘息などのアレルギーを引き起こすことがあるので気を付けてください。
最後は赤カビです。赤カビはマイコトキシンという危険性の高いカビ毒を作り、赤カビに汚染された食べ物を食べると嘔吐や下痢などの食中毒症状や免疫低下を引き起こす可能性があるため特に注意が必要です。またマイコトキシンの一種であるアフラトキシンは天然の物質の中で最も発がん性の高いものです。赤カビが生えていたらすぐに廃棄して、周囲もアルコールで拭きましょう。
カビは生えないようにするのが一番です。野菜も加工食品も鮮度の良いうちに食べること、開封したらなるべく早く食べること、唾液や水に濡れたスプーンや箸を入れないこと、冷蔵庫で保存すること、こういった毎日の心掛けでカビを発育させないように意識すると、無駄に食品を廃棄してしまう「フードロス」に繋がります。ぜひ、ご自身の食マインドの中に取り入れてみてください。
参考 「食品分析開発センター」WEB
「東京都福祉保健局」WEB
「東急ハンズ」WEB