二十四節気に合わせて心と身体を整える“立夏”

二十四節気(にじゅうしせっき)という言葉を聞いたことありますか?

日本の四季をさらに細かく6つに分けたものを指す「二十四節気」。古来日本人はこの二十四節気を主軸に農作業を行い、日常生活を送り、食を摂(と)ってきました。飽食の時代と言われる現代だからこそ食材から四季を感じにくくなってしまう、西洋医学が発展したからこそ予防医学が影を潜めてしまう、そんな今だからこそ、自然の流れに沿った食事をし、自分の内側に耳を傾け、健やかで彩り豊かな毎日をおくりたいものです。

では、心と身体を整える具体的な方法とは?明日から気軽に始められる心と身体の整え方をお伝えしたいと思います。

少しずつ夏を感じさせてくれる5月の前半(5~20日)を「立夏(りっか)」と呼びます。

この時季におすすめしたいのが、端午の節句に菖蒲湯に入り、柏餅を食べること。菖蒲は、勝負や尚武(武道・武勇を重んじるという意味)をかけていることに加え、病を遠ざける効果があるとされ、とても縁起の良い習慣として知られています。また薬草でもあり、血行促進や保湿効果、神経痛や腰痛、胃痛にも良いと言われています。

柏餅の葉は新芽が育つまで古い葉が落ちないという特徴から、柏餅は子孫繁栄の意味を持ち、子どもたちが元気な体を保てますようにという願いが込められているのです。5歳を迎えるまでに死亡してしまう確率が50%以上だった江戸時代だからこそ、このような風習が広まったというのも納得ですね。現在からは想像もつきませんが、昔の人は言い伝えや風習にならって子どもの健やかなる成長を願っていたのでしょう。

次に、この時季の体調管理について考えてみます。立夏を迎えると心臓の動きが活発になり、動悸を感じたり、頭のふらつきやすくなります。こんなときは栄養価の高いものを食べて無理をしないようにするのが一番です。

立夏らしい食卓としては、春の名残の食材(タケノコ、菜の花、山菜など)と夏の走りの食材(セロリ、トマト、枝豆など)といった新緑をイメージした緑色の食材を使うと立夏に相応しい素敵な食卓になります。

旬の食材を使うのなら、金目鯛、かつお、あさり、海藻類、人参、タケノコ、アスパラガス、新ジャガイモ、新玉ねぎ、ふき、山菜類など。苦みを持つ食材が表に立つ季節でもあります。ここにも実は理由があります。日が延びてきて日中の活動時間が増えると血液循環が他の季節よりずっと多くなり、心臓の活動が必然的に高まります。漢方の世界では、夏は「苦味」で「心」と関連づいている季節であり、心臓を労(いた)わるのは「苦味」。もし、体が苦味を欲しがったら積極的に食べてくださいね。

このように「立夏」は体調の変化と旬の食材の両方と密接な関係があるのです。

食材から季節を感じられるよう、旬の食材を知るためには、健やかな体作りだけではなく、毎日の生活を豊かにすることもまた本質ではないでしょうか。菖蒲湯に入る、柏餅や旬の食材を食べるなど、今回ご紹介したことをぜひ、実践してみてください。

【出典】
「二十四節気に合わせ心と体を美しく整える」 著者:村上百代

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