二十四節気に合わせて心と体を整える“啓蟄”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら自分の内側に耳を傾け、自然の流れに食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第45回は「啓蟄(けいちつ)」です。

3月5日~3月20日頃の啓蟄は、土の中で冬ごもりしていた虫たちが春の暖かさを感じて地中からはい出し始める時季です。

今回はタケノコをテーマにお届けします。タケノコの中でも中国産の水煮は1年中売られているので季節感はありません。ですが、本来のタケノコは旬の短い食材です。弓型に長い日本の地形のおかげで産地をずらしながら店頭に並びます。

中医学の世界において、タケノコは強い寒性に属します。すなわち身体を強く冷やすということです。ですので、冷え症や下痢の方は食べ過ぎに注意が必要です。そこで登場するのが「木の芽」(山椒の若芽)。実は切っても切れない縁があるのです。タケノコのお料理にそっと乗っている木の芽は、見た目の美しさと味の調和だけではなく、中医学的には[辛味・温性]に属し、体を温める効果が期待できるとされています。双方の良いところと悪いところを補い合うグッドパートナーなのです。

では、タケノコの効果効能はどうでしょうか。ズバリ注目すべき点は老廃物や毒素を取り除くデトックス効果です。苦味こそ薬効であり、体内の余分な熱を冷ます、血液を浄化する、排尿を促す、便通を良くする、といった効果があると言われています。冬の間に貯めこんだ余分なものを排出する、まさに「春に苦味を盛れ」という言葉通り、デトックスの代表格なのです。

また、「のぼせ」にも効果が期待できるのもタケノコのパワー。のぼせとは、顔の火照りやふらつき、ボーッとする症状が現れ、気や血が上昇して停滞することが原因と言われています。体中に熱がこもっている場合とは違いますので、足は冷える傾向があります。そこで活躍してくれるのがタケノコ。タケノコの苦味には心臓循環器系の働きを助ける作用があると言われていますので、血の巡りが良くなります。春先にのぼせを感じた時はタケノコや山菜を食べて改善を促しましょう。とはいえ、前述に記した通り、タケノコは身体を冷やす食材です。胃腸が冷えすぎてしまうことがありますので、生姜やにんにくを一緒に摂るなどしてバランスの良い食材の選択をしてくださいね。

では、タケノコを食べるポイントはどうでしょうか?タケノコと言えばアク抜きですが、この作業が面倒でタケノコを買うのを渋る……という人も多いはず。茹でたタケノコは1週間程度しか日持ちもしないので、まとめて湯掻くにも限界があります。タケノコのアク抜きに必要なものは大き目の鍋と米ぬか、唐辛子で、重曹を使った方法もあります。タケノコは鮮度が命ですので、すぐに茹でましょう。掘ってから時間が経てば経つほど苦味は増してしまいます。

毎年タケノコを食べるのを楽しみにしている人、まだ自分でタケノコを湯掻いたことのない人、このコラムをご縁として今年はタケノコを楽しみましょう!

筍を使ったレシピはこちら

・筍と豚肉の酸辣湯

筍と豚肉の酸辣湯

<レシピの詳細は画像をタップしてください↑↑↑>

参考 「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代

「からだに効く 和の薬膳便利帳」武鈴子

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