北欧に学ぶエコ。日本とは異なる家庭ゴミに対する教育と意識

毎日出る家庭のゴミ。食べ残しはもちろん、キッチン用品やプラスチックなど環境に影響を与えるゴミも少なくありません。近年では日本でも高まりつつあるエコに対する認識ですが、「しょうがないか」で済ませてしまうときもあるのが現実ですよね。

今回は家庭のゴミ問題について、環境先進国である北欧のライフスタイルに注目。北欧ブランドを多く取り扱うサスティナブルショップ「エコンフォートハウス」にお聞きしました。

日本とスウェーデン、エコに対する意識の「差」とは?

環境先進国スウェーデンは、エコに対する意識が非常に高く、世界からも注目されています。日本でもさまざまな工夫がされている家庭のゴミについて、スウェーデン人が日頃から取り組んでいることとは…?

「ゴミを減らすではなく、どうやって活用するかを考える」

スウェーデンの国全体が考えるエコとは「ゴミを減らす」だけではありません。例えば、家庭で使うキッチン用品ひとつにしても、自然に還る素材を選び、ゴミをリサイクルするシステムをフル活用しています。ちなみに生ゴミはバイオ技術によるエネルギー化によって、バイオガスに変え、家庭ではガスコンロに、公共交通ではバスを走らせたりしています。ゴミをゴミにすることなく再利用する技術が優れているというわけです。

「ゴミはコミューンが管理」

日本でもゴミの分別は行われていますが、スウェーデンでは、細かく分別されたゴミのリサイクルをコミューン(日本の市町村のような存在)が管理しています。ゴミ回収ボックスは、家庭でもオフィスでもどこでも12種類ぐらいに細分化されており、分別=当たり前という認識。スーパーマーケットには、ペットボトルや空き缶回収機が設置されていて、機械にペットボトルや缶を入れると、本数分のデポジット(預り金)が返ってくる仕組みです。さらには、キャットフードの回収ボックスを設置することで、捨て猫を保護するための食事を確保しつつ、フードロスを減らすシステムもあります。ゴミの分別・リサイクルがシステム化され、誰もが自然にエコを実施しているのが特長です。

「スウェーデンと日本の環境教育の違い」

スウェーデンでは、1歳から生涯に渡って学ぶという考え方があります。1970年から働く女性が増え、ほとんどの子どもが1歳から保育園(プレスクール)に入るようになりました。4歳ぐらいから環境教育が始まり、「森のムッレ教室」などの野外授業では、森の妖精ムッレさんに感謝しながら自然とふれあいます。食べ残しのランチなどを土に埋め、次に来た時にどうなっているか変化をみる……というように、遊びながら生分解テストをして、モノが土に還ることなどを学ぶのだとか。スウェーデンの小学校では「環境教育」が義務として認識されているそうです。

「スマホアプリでフードロスを解消」

日本では「TABETE(タベテ)」という飲食店とアプリが提携したフードロス対策のアプリが登場し、注目されていますが、スウェーデンでは、2006年に「Karma(カルマ)」という、フードロスに着目したスマホアプリが開発されており、売れ残った廃棄食品を定価の半額で購入できるようになりました。

国全体でエコ意識が高いスウェーデンの考え方について、いかがでしたでしょうか。日本人に「何かエコなことをしていますか?」と聞くと「電気をこまめに切っています」とか「ゴミを分別しています」などの答えが返ってきますが、スウェーデン人に同じ質問をしたら「特別何かしているということはない」とい答えるかもしれません。それくらい、当たり前のことだからです。「社会の仕組みの中で自然にエコに繋がることができている」こんな社会を私たちも見習いたいですね。

取材協力:エコンフォートハウス

https://www.ecomfort.jp/

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