二十四節気に合わせて心と体を整える“寒露”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第106回は「寒露(かんろ)」です。

10月8日~10月22日頃、陽気の良い過ごしやすい日が続くこの時期。朝晩は冷えますが、月がきれいな季節です。秋の夜長に月見散歩はいかがでしょうか。今回のテーマは「芋名月」と「栗名月」です。

芋名月はいわゆる中秋の名月「十五夜」ともいわれ、2021年は9月21日でした。芋名月の「芋」は里芋を指し、古来日本で芋といえば里芋を意味しました。そしてその1ヶ月後の満月の直前、「十三夜」の月を「栗名月」と呼びます。栗名月は「豆名月」「裏名月」「後の月」という別名があり、今年は10月18日です。

芋栗豆と、この時期らしい食べ物の名前がついていることから、この時期に採れる農作物を月にお供えします。神々に感謝している日本独自の文化を感じますね。現在では芋名月(中秋の名月)が一般的ですが、実は古来日本の観月の祭りは栗名月でした。芋名月は平安時代に中国から伝わった美しい月を観て楽しむ文化、栗名月は日本で農作物の収穫時期に収穫の喜びと五穀豊穣を願って美しい月を楽しみながらお祝いをする…、こうした感謝したのが始まりだと考えられています。

さらに栗名月には日本の美学があり、栗名月は完全なる満月ではありません。満月の少し手前、少し欠けている月を栗名月としています。なぜなら“これから満ちる”という未完の美の考えからなのです。完全なるものはさらなる上昇はなく、完全の先にあるのは崩壊、という日本独自の考えからなっています。おもしろいですよね。

芋名月と栗名月、この二つの月は一対とされ、同じ場所で観るものです。どちらか一方しか観ない、または別の場所で観た場合は「片見月」と呼ばれ、縁起が悪いとされていました。縁起が悪いというのは極端な印象を受けるので、両方を観て楽しみましょうね、くらいのニュアンスが良いと思います。

天気に恵まれにくい芋名月に対して、栗名月は天気に恵まれやすく美しい月が観られる可能性が高いことから「十三夜に曇りなし」という言葉があるほどです。

お月見といえばお月見団子。筆者の住む地域では、白い丸い団子を十五夜は十五個、十三夜は十三個積み上げ、ススキを飾ります。地域によってはあんこ入りのお団子だったり、串に刺さったお団子だったりするようです。決してこれを食べないといけないという行事ではありませんよ。今年も豊かな農作物に感謝し、農家の皆様を敬い、美しい月を観る。そんな素敵なお月見をしましょう。



参考 「月探査情報ステーション」WEB

オフィシャルメンバー:滝野 香織

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