二十四節気に合わせて心と体を整える“雨水”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて健やかで彩り豊かな毎日をおくる。

第115回は「雨水(うすい)」です。

2月19日~3月4日頃、三寒四温を繰り返しながら暖かい春に向かうこの時期。雨水の初侯は土潤起(つちのしょううるおいおこる)、中国では「獺祭魚(だっさいぎょ)」と呼ばれています。獺(=カワウソ)が捕らえた魚を並べて食べるという意味を持ち、カワウソが捕らえた魚が供物を並べ、先祖祭りをするかのようなしぐさをすることに由来するそうです。

このカワウソは大食漢なので、たくさん魚を捕らなければなりません。川面が凍らないうちに大量の魚を捕っておきたいため、一匹ずつ食べずに一気に捕って川岸に並べておくのです。その様子から、詩や文を作るのに多くの参考資料を広げ散らす様を指し示す言葉として知られています。

 さて今回のテーマは、今や大人気の日本酒「獺祭」から学ぶ日本酒です。獺祭の酒蔵があるのは、山口県岩国市の獺越(おそごえ)。獺越から獺の字を取ったそうです。また、明治の文豪・正岡子規が自らを「獺祭書屋(だっさいしょおく)主人」と号したこと、正岡子規が日本文学に革命を起こしたことにちなみ、変革と革命の中から日本酒新時代を築こうと「獺祭」という名にしたといわれています。

この日本酒・獺祭といえば、二割三分が有名。二割三分とは精米歩合、すなわちお米の磨き具合を示します。(お米を“削る”のですが、“磨く”と表現します。)精米歩合23%ということは、玄米の表層部を77%磨いたという意味につながります。

なぜこんなに表面を磨くのか、その理由には米の構造が関係します。そもそも米の中心はでんぷんが多く、表層部には脂質、ビタミンやたんぱく質が多く含まれます。脂質やビタミン、たんぱく質はうまみや苦みなど「味わい」になりますが、多すぎると香りや味が悪くなる「雑味」になってしまうことも。獺祭の香り高くすっきりとした味わいは、磨き上げられたお米の賜物なのです。ワイングラスで飲みたい日本酒と絶賛されるような純米大吟醸酒は、醸造アルコール不使用で精米歩合が50%以下のものと一般的には区分されます。純米大吟醸酒が高価とされるのはそのためです。

日本酒の話に続きますが、寒い日は熱燗も美味しいですよね。ところが純米大吟醸酒は熱燗には向きません。爽やかな甘みが特徴の純米大吟醸酒に熱を加えてしまうと、アルコールがたち辛味と甘みが強くなり、雑味が出やすくなるといわれています。裏のラベルを見ると、冷酒か熱燗向けか記載されている日本酒も多いので、ぜひ参考にしてください。

一般的な見解として、日本酒は温度を上げると甘みやうまみが増し、酸味や苦みのバランスが良くなるとされます。純米酒や、コクのある生酛造り・山廃仕込みは熱燗に向いていますよ。

今回ご紹介した獺祭をはじめ、日本酒の世界はワインと同じように奥深いものです。とはいえ、やはり美味しく飲むのが1番!シーンや料理に合わせて日本酒を選べるようになれたら素敵ですね。

酒粕クラッカー

<レシピの詳細は画像をタップしてください ↓↓↓>



参考:「一般社団法人 数理暦学協会」WEB

   「旭酒造」HP

   「広島の日本酒」HP

オフィシャルメンバー::滝野 香織

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