「カヌレ流行ってる?」

カヌレは1990年代後半に日本に上陸し、一大ムーブメントを巻き起こしたスイーツ。

私自身、 フランス系のパン屋さんでアルバイトをしていた経験があるのですが、そこでもカヌレを販売していました。そこでもカヌレを販売していました。そして時は流れ、2021年頃から再びカヌレブームが巻き起こっています。

そもそもカヌレはフランス・ボルドー地方の郷土菓子。ボルドーといえばワインの名産地ですよね。ワインを製造する工程の中に、不純物やオリを取り除く「コラージュ」という作業があり、コラージュには大量の卵白が用いられます。

卵白のみを使用するので、卵黄が余ってしまう、そこで卵黄を使ったお菓子が作れないかと生まれたのが「カヌレ」といわれています。カヌレの歴史はとても古く、一説によると18世紀、ボルドーの女子修道院で作られたのが始まりなのだとか。フランス革命でカヌレのレシピが消失し、一時は姿を消したそうですが、民間の間でカヌレは作られ続け、今も作られているのです。カヌレはボルドーと周辺の一部地域でのみ作られていましたが、それを世の中に広めたのがあの有名なピエールエルメ氏。パリ・フォションのシェフパティシエを務めていた時代に販売し、一躍有名になったのだとか。そこから食いしん坊大国の日本が輸入したという歴史から、今に至るというわけです 。

そんなカヌレ、なぜ再び流行り出したのでしょうか。いくつかの理由が考えられますが、今流行りのカヌレはデコレーションされたものです。

クラッシックなカヌレは焦げ茶色でどこか無骨。材料は卵・砂糖・小麦粉とかなりシンプルです。SNS映えとはほど遠い素朴な見た目ですよね。このカヌレを逆さまにして中に生クリームと詰めたり、いちごや抹茶などさまざまなフレーバーが登場したことにより、SNS映えした「進化版カヌレ」がじわじわと流行り出したのです。さまざまなパティスリーが趣向を凝らしたカヌレを販売し、近年はコンビニやスーパーマーケットのスイーツコーナーにもカヌレが登場。クリームを組み合わせたオリジナルカヌレスイーツがたくさん並び、流行りを感じました。

私自身、カヌレ好きの友人と「カヌレ部」を立ち上げるほど、カヌレが好きなのですが、どちらかといえばフレーバーやデコレーションされたカヌレよりクラシカルなノーマルタイプをこよなく愛しています。

外側はガリガリと強めに焼けて、中はむっちりしているその対比。外側の香ばしい焦げ付きと、内側のカスタードのようななめらかさ。上品な甘みとラム酒の香り。何よりカヌレでしかない独特の釣鐘型が愛らしいですよね。ちなみに内部の気泡は縦長に出ているカヌレが正解だそうです。

今のブームが落ち着いて、再びカヌレは忘れられてしまう時が来るかもしれませんが、カヌレ愛を続けて、いつか本場ボルドーでカヌレの食べ比べをしてみたいです。

 

 

参考:「リストランテナカモト」HP

   「Tourisme japonais」HP

オフィシャルメンバー:滝野 香織

タグ

    オススメコラム・特集

    このコラムに関連するコラム