二十四節気に合わせて心と体を整える“立夏”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第25回は「立夏(りっか)」です。

立夏とは5月5日~5月20日頃、春の終わりから夏につながる時期です。今回は立夏について紹介したいと思います。

春から夏へと移りゆくこの季節、暖かい気候に外に出たいと浮かれてしまい発散し過ぎてしまうのは良くないと言われています。熱した体を冷ますもの、酸っぱいもので発散をセーブしながら養生しましょう。

というのも、過度な発散は精神面に不調をもたらします。特にイライラしているときは心が穏やかになるもの、体を冷ますもの、酸っぱいものでバランスを取ります。食材ならアサリ・セロリ・小松菜・梅干し・お酢などがおすすめです。体が酸っぱいものを欲したときは積極的に摂るようにしましょう。

今回は、上記にも挙げた旬の食材「アサリ」について掘り下げてみたいと思います。

アサリの五性は「寒」、体を冷やし潤いを与える作用が強いとされています。体内の余分な熱を取り除き機能を鎮静させますので、冷えが強い人や胃腸の弱い人は摂りすぎには注意が必要です。また、五味は「鹹(かん)」と呼ばれる、かたいものをやわらかくする作用があり、排泄を促します。いわゆるデットクスと同じ効果が期待できるのです。

寒性の食材は真逆の熱性の食材と合わせるとバランスが取れます。熱性の食材の代表的なものがニンニク、唐辛子。冷えが気になる場合は酒蒸しにするときにニンニクや唐辛子を加えると改善に繋がります。そして栄養成分にはタウリン、亜鉛、ビタミンB2を多く含み、疲労回復・美肌効果・貧血予防も期待できます。とりわけアサリの鉄分はヘム鉄なので吸収率が高いです。ちなみに、鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄はレバーや貝類など動物性食品、非ヘム鉄はほうれん草やひじきなど植物性の食品を指します。ですが、非ヘム鉄は人間の鉄の構造と違う為、吸収率がヘム鉄に比べて低いのです。動物性食品のヘム鉄は人間の鉄の構造に近いため吸収が良いとされていますので参考までに。食物のもつ栄養の数値は身体にとって全てが正解という訳ではありません。見せかけの数値に騙されないようにしましょう。

以上を踏まえた上で気を付けたいのが調理方法。アサリに含まれるタウリンの量はとても豊富ですが、水溶性であるタウリンは煮汁や茹で汁を一緒に食さないと栄養を取り入れることができません。酒蒸しにした汁の残りは、例えばワインの酒蒸しならパスタソースに入れる、日本酒の酒蒸しなら茶碗蒸しに加えて余すことなく食しましょう。タウリンは疲労回復効果、アルコールの代謝に効くと言われていますので二日酔い対策にもオススメです。

最後に注目すべき栄養素は亜鉛。現代人が不足に陥り易い栄養素と言われていて、意識して摂りたい食材のひとつです。ビタミンCと一緒になると亜鉛の吸収率が上がるので、ビタミンCを多く含む野菜などと合わせると良いでしょう。スーパーのアサリを見ると、ふっくら大きくて価格も安くなる今の時期。潮干狩りもシーズンを迎える旬のあさりを楽しんでみてはいかがでしょうか。

参考 「五性五味帰経がひと目でわかる食品成分表」杏仁美友

「12か月の薬膳レシピ」青山有紀

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