二十四節気に合わせて心と体を整える“小寒”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第65回は「小寒(しょうかん)」です。

1月5日~1月19日頃とされる小寒。この時季は年が明け、寒さの中にも太陽の温かさを感じられる清々しい日もありますが「寒の入り」と呼び、ここから寒さが本格化してきます。お正月の片づけをしたり、七草がゆをいただいたり、少しずつ日常生活を取り戻しましょう。

そんな寒い季節にリンクする今回のテーマは、冬の野菜の代表格「大根」です。食べる胃腸薬の異名を持つほど、大根は胃腸の働きを助けてくれる食材。胃腸を丈夫にして消化を助けるので、食当たりにならない、その「当たらない」が派生して、客を呼べない役者を「大根役者」と呼ぶそうです。

大根に含まれるジアスターゼという消化酵素は、でんぷんの分解を促進し消化不良や胃もたれを改善し、腸の働きを整え、高い解毒作用もあります。ジアスターゼは大根の根の部分(下部)に特に多く含まれますが、このジアスターゼは熱に弱いもの。お刺身のツマや、焼き魚の大根おろしは大根の生食の代表格ですよね。生魚の食中毒予防、脂が多い魚の焼き魚の胃もたれ防止に、適材適所と言えます。

この他にも大根に期待できる効能として「のどの痛みを改善」があります。咳止めや痰切りの効果があるとされ、大根をはちみつに漬けた汁を飲むなど昔から民間療法も存在します。身体を冷やしてしまう野菜とも知られていますが、大根は解熱効果も期待でき、肺や気管支をうるおすので風邪の症状を楽にしてくれます。

また、高ぶった気を鎮める効果があるといわれ、脳の血管が拡張して神経を刺激することで起こる片頭痛の改善も期待できるそうです。片頭痛時は身体を温めてはいけないので、身体を冷やす効果も適切です。大根湯という頭痛に効く民間療法が昔からあることから、大根の効果は広く世に知られていたのですね。

では、大根の上手な選び方はどうでしょうか?白が冴え冴えしていて、みずみずしく、ハリのあるもの。ずっしりと重く、ひげ根の毛穴の少ないものが良いとされます。買ってきたらすぐに葉部分を切り離しておくのもポイントです。新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室に入れましょう。冷暗所の保存も可能ですが、切ったら冷蔵庫で保存するのがベスト。使いやすいようにカットして、フリーザーバッグに入れて冷凍保存もおすすめです。ただし霜がついてしまうと味が落ちるので、冷凍庫の温度変化の少ない場所で保存し、1か月を目安に使い切りましょう。

 旬の大根は安価で味も良く栄養価が高い食材です。大根は生食、煮る、焼く、蒸す、そして和洋中と守備範囲の広い野菜。大根を上手に使って冬をうまく乗り切りましょう。

参考 「からだに効く 和の薬膳便利帳」武鈴子

   「料理のいろは」WEB

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