玄米食について

何年か前にマクロビ食が流行ったころ、玄米がもてはやされた時期がありました。

粗食を良しとする考え方のもと、身近で子どもにも玄米食を与えているご家庭があり、驚いたのを覚えています。

「玄米食は栄養満点で、白く精製されたものは健康に害を及ぼす」とネットには玄米肯定の文章ばかりが目立ちました。

果たして本当に玄米食は正義なのか。今回はそれについて書いてみたいと思います。



まず、紛れもない事実である栄養素の部分。

玄米は白米に比べて食物繊維を多く含みます。(玄米100gあたり食物繊維1.5g。)

含まれているのは不溶性食物繊維なので、便のカサを増やし排便を促します。

そして、玄米の栄養素として有名なのがビタミンB1。

これは糖質の代謝に関わるビタミンで、胚芽やヌカに含まれます。



他にも、マグネシウム・カリウム・鉄を白米より多く含みます。

また強い抗酸化作用を持つフィチン酸も含まれます。

玄米はとにかくよく噛む必要があるので、食べ過ぎやドカ食い防止の利点もあります。



そして白米に比べて血糖値が上がりにくいのも特徴です。



一方で、残留農薬が気になるという意見もあります。

ヒ素を多く含むという噂もありましたが、これらは国内で使用範囲の基準がしっかり設けられているため健康被害が出ることは考えにくいです。 

栄養面とは別に気になるデメリットとしては消化の悪さが挙げられますが、咀嚼が未発達なお子様に玄米食を勧める際には、発芽玄米にするといくらか消化が良いようです。



なお、先述したメリットの中で触れたフィチン酸は、実はデメリットでもあります

強力な抗酸化作用があるため、抗がん作用、血栓予防効果、デトックス効果があることが研究でわかっています。



しかし、その一方で強力なキレート作用があることからカルシウム・鉄分・亜鉛などの必須ミネラルの吸収を阻害してしまう一面もあるのです。

とはいえ、フィチン酸は玄米だけでなく小麦やソバなど他の穀物にも含まれるので、玄米だけのデメリットとしてクローズアップするのは間違いと言えるでしょう。

また発芽毒とも言われるアブシジン酸がミトコンドリアを傷つけるという噂がありましたが、内閣府の食品安全委員会が安全性を認めているので過剰に避ける必要はないと思われます。



現在のように誰でも白米を食べられるようになったのは戦後と言われていますが、もし玄米食に健康被害があるようなら、もっとずっと前に食べるのをやめていたことでしょう。

それでも消化の悪さなどのデメリットが気になる方は12時間以上浸水させると良いそうですよ。



私なりの結論ですが、玄米食はしっかり長い時間噛んで咀嚼できる人にはお勧めかと思います。

抗酸化作用など健康効果を狙って食べるなら、とにかくよく噛むことだけは忘れないようにしましょう。



玄米は全ての面で正義というわけではありません。

良薬口に苦し、メリットとデメリットをよく理解することが大事ですね。





参考:八訂食品成分表2021 女子栄養大学

   Macaroni 玄米食のメリット・デメリット



オフィシャルメンバー:滝野 香織

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