二十四節気に合わせて心と体を整える“冬至”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通して、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第40回は「冬至(とうじ)」です。

12月22日~1月7日頃の冬至になると、年末から新年の時期が近づいていることを感じさせてくれます。昼が最も短く夜が最も長い「冬至」、今年は12月22日です。冬至は湯治に繋がり、ゆず湯に入って養生し、縁起を担いで南瓜を食べる習慣があります。そんな冬至が過ぎたらあっという間にお正月です。お正月の食べ物と言えば、おせち料理とお雑煮。今回はお雑煮について書きたいと思います。

新年を迎えたお正月になぜお雑煮を食べるのでしょうか。お正月の餅は古くから神器である鏡を模した丸形です。新しい年の歳神様へのお供え物であり、「年魂」と呼ばれています。そのお供え物の御下がりを頂くことによって、豊作や家内安全を祈願するのです。お雑煮は餅を主体にした温かい汁物で、もとは五臓六腑を保養する「保臓(ほぞう・ほうぞう)」と言われるもの。そこから転じて「雑煮」になったという言い伝えがあるようです。平安時代ほど遡ると温かい食事というのがほとんどなく、温かい汁物は大変貴重とされていました。お正月は温かい汁物をいただいて、胃腸を保養し、新年の無病息災を願ったのです。

そんなお雑煮にまつわる話題といえば地域差。筆者は関東地方のお雑煮なので、焼いた角餅に醤油味の澄まし汁、鶏肉、蒲鉾、人参、青菜が入ります。餅の形も地域により異なり、東日本では「角」、西日本では「丸餅」です。武士の多い東日本では、「敵をのす」から伸し餅(の もち)が好まれ角餅になった、江戸は人口が多いのでひとつずつ丸めるより伸し餅を切り分けた方が早いから、などと由来があるようです。また、餅=高級品という認識が昔から根付いていましたので、餅の代わりに里芋を入れる地方もあります。

汁のベースは、関東は醤油の澄まし仕立て、関西は白味噌仕立てが2代巨頭ですが、淡色味噌や赤味噌、小豆(あずき)を使ったお汁粉風や魚介だしの地域もあります。具材は、一般的に漁村では海の幸が多く入り、山間部では山の幸が多く入ります。

関東風お雑煮

関東風お雑煮

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変わり種のお雑煮も見てみましょう。岩手のくるみ餅(お雑煮に入っているお餅をくるみだれに付けて食べる)、新潟の鮭といくらの親子雑煮、信州松本の塩ブリ雑煮(山深い地域なのでブリは貴重だった)、福井のかぶら雑煮(茎付きカブが主役)など。さらに名古屋の雑煮には鰹節が、京都は丸餅にこっくり甘めの白味噌仕立て、奈良はお雑煮の餅を別添えの黄な粉に付けます。島根は甘くないお汁粉のような小豆汁、広島はブリや牡蠣も入ったお雑煮、香川は白味噌仕立ての汁にあんこ入りの餅、長崎はあごだしで山海の幸が盛りだくさん……と本当に多くのお雑煮が各地域で食べられています。

こんなにいろいろな種類のお雑煮を見ていると、「食べてみたい」と気になるものも出てくるのではないでしょうか。来年はいつもと違う○○風雑煮を楽しんでみてくださいね。

参考  「ALLABOUT」WEB

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「伝承日本料理」柳原敏雄

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