二十四節気に合わせて心と体を整える“小雪”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事をし、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第62回は「小雪(しょうせつ)」です。

11月22日~12月6日頃の小雪は、少しずつ寒さが本格化して装いも食も冬を楽しむ時期ですね。

そんな冬を感じ始める今回のテーマは「こたつみかん」。六十候「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」と呼ばれ、橘の実が色づくとされています。ここでいう「橘」は私たちのイメージする食用のみかんではなく、お雛様に飾られる右近の橘です。実は小さく、酸味が強いので食用には適しませんが、香り高く、「香り立つ花」からタチバナと呼ばれていたそうです。

そして「みかん」といえば、=こたつ、を連想する方も多いのではないでしょうか。先ほどの橘は日本書紀や魏志倭人伝にも登場するほど古くから日本に自生しているものですが、今も親しまれているみかんは江戸初期に伝来したものです。青菜の少ない冬場、免疫力を高めて風邪を予防するビタミンの貴重な補給源となりました。気管支を拡張させる効果が期待されるシネフリンという成分が含まれ、のど風邪に効果があるそうです。中医学では、胃腸の働きを活性化して、食欲増進効果があるとされるほか、体液を生じて潤す作用があり、口の渇きを癒し、熱による咳や痰を止める薬効が得られます。こたつにじっと座っていると喉が渇いてきたり、身体が変に暑くなりすぎてしまったりと、自然とみかんに手が伸びるのです。身体が欲するときに、こたつから出て寒い思いをせずとも手をのばせばそこにあるのがみかんなのですね。

ところで、みかんの名前に“三ケ日”“青島”“早生(わせ)”“温州”“愛媛”などありますが、区別はおわかりでしょうか。手で皮が剥けて、房ごと食べられる、こたつみかんでお馴染みのみかんは全て温州(うんしゅう)みかん。三ケ日みかんとは品種名ではなくブランド名です。青島みかんは品種名。早生みかんは果実の熟期が早いことを指す呼び名であり品種名ではありません。すなわち、三ケ日みかんの中で大きく分けて「早生」と「青島(晩生)」に分かれるのです。産地は静岡県です。愛媛みかんは生産地が元になっており品種名ではなくてブランドネームです。静岡県のみかんは酸味と甘みのバランスが良く、愛媛県のみかんは小さな子どもでも食べやすい甘いみかんです。

みかんは産地や品種、時期やその年の出来で味や食感が異ります。そんなみかんですが、筆者は酸っぱめで実がギュッとしたタイプが好みです。八百屋さんやスーパーの青果担当の店員さんに特徴を聞いてみると良いですよ。今年はみかんを味方につけて風邪知らずの冬を過ごしたいですね。

参考  「からだに効く和の薬膳便利帳」武鈴子

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