「二十四節気に合わせて心と体を整える”小雪”」

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第85回は「小雪(しょうせつ)」です。

11月22日~12月6日頃、だんだんと寒さも本格的になって、1年の終わりを感じ始める頃です。師走に入り、気忙しくもあり、体調を崩してなんていられませんよね。

そんな季節の中で紹介する今回のテーマは「黒い食事で食養生」。陰陽五行説で冬は黒になります。冬は秋の実りで蓄えたエネルギーを春までグッと溜めておく時期です。油脂や糖も含め身体に栄養をたくさん摂り込み、まさに冬の寒さに備えているかのようです。秋になると果物やさつまいも、南瓜など糖分の多いものや、秋刀魚や鮭など脂ののった魚が出回るのも、そのためだと考えられています。

そして冬は夏場に比べて活動量が落ちやすくなります。東洋医学的にまとめると、「気」や「血」が停滞すると言います。そこで負担になりやすいのが、身体の水分代謝を司る「腎」です。腎とは、腎臓そのものに加え、膀胱、生殖器も含まれます。寒くなると、尿のトラブルが起こりやすくなりますし、これらの臓器は寒さや冷えの影響も受けやすいですよね。女性は冷えが原因で生理トラブルや不妊、病気や不調を招きやすいと昔からいわれており、とにかく冷やすな、とされてきました。

また、腎は経絡(けいらく)で耳と繋がっているので腎の症状は耳に現れることがあります。耳と腎臓の形は似ていますよね。耳鳴りやめまい、難聴も腎の虚弱と関係があるそうですし、腎が弱くなると皮膚に黒い色が現れ場合もあるのだとか。目の下のクマが黒かったり、唇周辺が黒かったり、皮膚も黒っぽくなるといわれていますので「腎」機能の低下のサインなので気を付けましょう。

「腎」を補う食べ物には、黒い色の食材が多いことに着目してみましょう。黒米・黒豆・黒ごま・黒きくらげ・昆布やひじきなどの海藻・椎茸・蕎麦などです。これらには西洋医学的に見てもアントシアニン、ルチンなどのポリフェノールを多く含み、体温を上げる働きや造血作用があるとされています。特にきくらげは薬効が高くオススメ。食物繊維が豊富ですので腸内環境を整え、便秘に悩む方にもおすすめです。「腸内環境は免疫の要」という考え方は一般的にも浸透してきたので、食物繊維がどれだけ大切な栄養かは言わずもがなですね。出血を抑える効果もあるとされているので、貧血や不正出血の予防にも効果が期待できるんですよ。

レシピにも「きくらげの甘酢漬け」を掲載していますのでチェックしてください。生のきくらげの旬は4~8月ですが、乾燥は常に手に入ります。とても簡単なレシピなので、いつもの食事に食物繊維を“ちょい足し”する感じで作ってみてくださいね。

参考  「からだに効く和の薬膳便利帳」武鈴子

オフィシャルメンバー:滝野香織

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