きのこ

食欲の秋です。秋晴れの穏やかな気候が到来すると、どこへ足を運んでも秋の味覚が「食べて食べて!」とアピールしてくるかのよう。そんな秋の味覚のより、今回は「きのこ」について書きたいと思います。

きのこといえば、八百屋さんやスーパーの常連食材。1年を通して、比較的安定した価格で手に入ります。野菜が高騰している時期でも、きのこだけは裏切らないでいてくれる、そんな存在ですよね。その中でも特に美味しく食べれるきのこの旬は秋です。都会のスーパーで露地もののきのこに出会える機会はなかなか希少ですが、地方にある道の駅や産直販売、きのこ狩りに行くなどして食べてみると、香りや歯触りが全く違います。秋の味覚きのこが身体に与える影響とは?身近なきのこの働きについて、さっそく見ていきましょう。

まずは椎茸について。栄養が豊富な椎茸は薬膳的な観点からすると、自律神経のバランスを整えると同時に、風邪予防、血液循環の改善に効果があると言われています。栄養学的な面から見ても、その成分と効能が明らかになっており、免疫力強化、ストレス対策、便秘予防と改善、と女性にとって嬉しい効果ばかり。ただし、不溶性食物繊維(水に溶けない食物繊維で、便のかさ増し効果がある)が多いため、便秘気味の方は便が固くなりすぎないよう、水分補給を心掛けてください。不溶性食物繊維には、体内の脂肪や老廃物を吸着し、体外に排泄させることでデトックスを促してくれたり、体内水分を吸って膨れる性質を持つことから、満腹感を維持し、食べ過ぎ自体を防いでくれます。また、干し椎茸になると、ビタミンDの含有量が増え、カルシウムの吸収を促します。ここで注意したいのが、市販の干し椎茸。天日干しではなく機械乾燥のものも多いので、できれば天日干しのものを選ぶようにしてください。生の椎茸を天日に30分から1時間干すと良質なビタミンDを含んだ干し椎茸をつくることができるので、料理好きな方ならば、チャレンジしてみはいかがでしょうか。

お次は舞茸について。その昔、舞茸を見つけた人が嬉しさのあまり舞い踊ったことからこの名前がついたと言われている舞茸の由来。それだけに、味の良いきのこだというのが分かりますよね。また、舞茸には強い抗がん作用があることも分かっており、その他にもさまざまな栄養分が含まれています。その中でも、最も注目すべきはβ-グルカンです。他のきのこにも含まれている栄養素ですが、舞茸の含有量は他のきのことは構造が異なり(MDフラクション)強力な効果があることが実証されています。主な働きとしては、免疫機能の調整・強化、腫瘍の増殖を防止する働きに優れているそうです。また、インフルエンザのウイルス増殖を抑制する働きがあることも近年の研究で検証されています。加熱による効能の効果は変わりませんが、水溶性ですので汁ごと調理できる、鍋もの・汁物・炊き込みご飯がおすすめです。

安価なのに栄養が高く健康にも良いきのこ。万人受けする味の良さに加えて、他の食材との相性も文句なし。お財布にも身体にもやさしいスーパーフード「きのこ」をたくさん食べて、来たる冬を乗り越えましょう。

出典:漢方専門薬局 e-和漢堂(web)

「二十四節気に合わせ心と体を整える」村上百代

「栄養成分表」女子栄養大学出版

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