二十四節気に合わせて心と体を整える“立冬”

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識しながら、自分の内側に耳を傾け、自然の流れに沿った食事を通じて、健やかで彩り豊かな毎日をおくる。第61回は「立冬(りっとう)」です。

11月7日~11月21日頃の立冬は、冬という文字が出てきても、まだ秋を満喫している時期。温かいメニューやほっこりとした時間を楽しむ季節ですね。

二十四節気は古来中国の考えですので、季節感が少し異なります。立冬と言えど日本の冬本番は12~2月。

しかし中国では11月の立冬を迎える頃は、耳がかじかんでしまうような冷え込みが始まるそうです。その耳の様子から、立冬の日には餃子を食べる習慣があるのだとか。また、立冬は秋から冬へと交わる日。中国語で「餃(jiao3/ジャオ)」と「交((jiao1/ジャオ)」の音が似ていることから「立冬に餃子を食す」とも言われています。今回はそんな餃子について書きます。

 

餃子は言わずと知れた中国の家庭料理。中国で餃子といえば“水餃子”を指しますが、日本で餃子といえば“焼き餃子”を指しますよね。餃子の日本伝来は古く、江戸時代と言われています。1689年に水戸黄門で有名な水戸光圀公に明国の儒学者が献上したというのが始まりなのだとか。ほかにも1780年頃の料理本にも登場しているそうです。

とはいえ、江戸時代は食肉禁性ということもあり、本格的に「餃子」が広まったのは、1932年の満州国の建国がきっかけとされています。戦後満州国からの引き揚げ者が日本に帰国した際、日本国内に広まったというわけです。餃子の町として知られる宇都宮や浜松などは、いずれも満州軍や満州開拓団とつながりのある地域ですので納得ですね。

では中国では水餃子が一般的なのに、なぜ日本は焼き餃子なのかという疑問が残ります。一説には、中国では余った水餃子を翌日に焼いて食べる習慣があるそうで、それがルーツとも言われていますが、日本の焼き餃子は生の餃子を焼くので、それとは異なります。今日では、戦後の渋谷に満州引き揚げの夫妻が料理屋を開き、水餃子と焼き餃子を両方出したところ、焼き餃子が当たった、という説が有力だそうです。中国北部の主食は小麦。水餃子は主食と主菜を兼ねているので皮は分厚く、1品で完結する料理となるのですが、日本人の主食は米。白飯のおかずとして食べるのならば、油で焼いた香ばしさや薄めの皮、さらに醤油・酢・ラー油と白飯に合うように進化を遂げてきたのです。日本人の食事がいかに「白飯」ベースなのかよくわかりますね。

このようにして日本の餃子は、日本国内で独自の進化を遂げ「中国発祥の日本の家庭料理」と言えるのではないでしょうか。

 

 

坦々風だれの水餃子

坦々だれ風の水餃子

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参考 「Japan Business PressWEB

「知識の泉」WEB

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